『サイフルイスラームはイギリスと深い関係』

2014年2月13日

 

 リビアの今後を決定していくうえで、意外にカダフィ大佐の次男サイフルイスラーム氏の存在を、無視できないと何度か書いてきた。

 最近になってそれを裏付けるかもしれない情報が、リビア国内から流れ始めている。一つはリビア南部で緑旗を掲げるカダフィ・シンパの集団が、反政府の武力闘争を展開しているということだ。

 続いて、相変わらずカダフィ大佐の次男サイフルイスラーム氏は、トリポリで裁判にかけられること無く、リビアン南西部の田舎町ズインタンで、軟禁されているという点だ。

 何故サイフルイスラームだけがそのような処遇を、受けているのかという点について、私なりの憶測は『サイフルイスラームはカダフィ大佐がリビア全土に隠匿した、ドルやユーロ、金塊のありかを知っているために、ズインタンの住民が手厚く保護している。』というものだった。

 しかし、最近出てきた情報によると、サイフルイスラーム氏はイギリス政府と、深い関係にあったということのようだ。イギリス政府はサイフルイスラーム氏がカダフィ大佐とは異なり、開明的である点に注目していたようだ。

 そして、このサイフルイスラーム氏とムスリム同胞団を結びつけることにより、カダフィ大佐亡き後のリビアを、纏めていけると踏んでいたようだ。

 何処までこの話が本当かは分からないが、ありうるシナリオであろう。述べるまでもなく、もしこの話が事実であるとすれば、ズインタンの住民はイギリスとの関係があり、サイフルイスラーム氏を逮捕投獄しているというよりは、いまリビア国内で吹き荒れる嵐から、サイフルイスラーム氏を守っているということではないのか。

 イギリスほどアラブにコミットした国であれば、アラブの春革命後に各国がどのような状況になっていくかを、極めて正確に予測できていたであろう。その場合、リビアで次に立つべき人物に、誰がふさわしいのかも知っていたろう。

 イギリスはズインタンの住民に対し、サイフルイスラームを捕まえ保護しろ、と指示していたのではないか。あるいは、サイフルイスラムーム氏に対して、ズインタンには話が付いているので、そちらに向かえと指示していたのではないか。

 一応、サイフルイスラーム氏はズインタンの住民と、戦った形にはなっているが、実際には重傷など負っていなかった。そのことが裏取引の存在の証明になるまいか。早晩その結果が出てこよう。それまでこの謎解きは、置いておくことにしよう。