『エルドアン首相の過剰な決定は敵を増やすだけ』

2014年2月 8日

 

 エルドアン首相の被害妄想が、だいぶ昂じているようだ。最初は軍のクーデターを恐れ、次いでヒズメト運動を恐れた。軍がクーデターを起こす可能性は、いまの時代にはほとんど無かったのだろうが、エルドアン首相は真剣に、恐れていたようだ。

 そのために、受刑中の軍幹部に対する恩赦を考え、再審理を打ち出したが、それはかえって軍のクーデターの可能性を、高めたのではないか、と識者たちは語っている。

 ヒズメトについても同じだ。政治的な動きはしない方針のこの組織が、反エルドアンで社会運動を、起こすつもりなどはほとんど無かったのだが、エルドアン首相のヒズメトに対する度重なる敵視と暴言が、ついにヒズメトのリーダーをして激怒させることになった。

 その前には、ゲジ公園を大ショッピング・モールにする計画を立て、イスタンブール市民の強い反発を受けたが、エルドアン首相は一切聞き入れようとしないばかりか、警察を使って力で抑え込んでいる。結果的に、ゲジ公園問題はトルコ全土に不満と怒りの炎を、燃え上がらせることとなっている。

 汚職捜査をしていた検察警察の幹部の左遷、ジャーナリストに対する弾圧で、彼と彼の家族そして閣僚と彼らの家族の汚職問題を、押さえ込もうとしたが、それでも不安は止まないようだ。

 次いで最近、エルドアン首相はインターネットに対する規制を行っている。このことは、さすがに欧米の強い非難を受けることになったが、エルドアン首相はそれを持って『外国によるトルコに対する陰謀、介入だ。』と自分の正当性を主張し始めている。

 次いで、ツイッターで政府批判をしたとして、反エルドアン立場にある、ザマン新聞の記者を国外追放している。そのジャーナリストの名前はゼイナロフ氏で、彼はアゼルバイジャンの出身だ。

 当然のことながら、これはトルコの全ジャーナリストを、敵に回すことになった。同時に欧米からもこのことについては、エルドアン首相に対する批判を、生み出している。

 エルドアン首相がいまだに、強気の姿勢を崩さないのは、アメリカが彼を支持しているからであり、経済を発展させていけば、国民は彼を支持し続ける、という考えからであろう。しかし、それもそろそろ限界に、差し掛かっているのではないか。トルコの景気は後退し、アメリカもエルドアン首相に対して、冷たくなってきているからだ。