イランのプレステレビが奇妙な情報を提供している。それによれば、イスラエルとアメリカがシリアの反政府側ミリタントを使い、シリア南部の土地をイスラエル側に、併合しようというのだ。
この情報については、一概には認められない部分もあるが、記憶の片隅に入れておく価値はありそうだ。それは、イラン政府のイスラエルに対する立ち位置が、極めて敵対的だということによる。
そのため、イランがデマ情報を流したとしても、何の不思議もないからだ。例えば、イランが敵対関係にあるサウジアラビアについて、これまでイランは何度となく、針小棒大な情報提供をしてきている。
少人数のデモがサウジアラビアで起こっても、イランはあたかも何千人ものサウジアラビア人が、デモに参加したかのように、伝えた場合があるからだ。バハレーンのデモについてもしかりであろう。
したがって、敵対関係にある国から出てくる情報については、一旦は受け止めても、それをただちに信じ込むのではなく、一定の時間をおいた上で判断を、下すべきなのかもしれない。
今回の場合、イランのプレステレビはアメリカがシリアの反体制組織の一部を、シリアの穏健反政府派という表現を使い、支援してきた。そのアメリカが言うシリアの穏健反政府派が、イスラエルによるシリア南部の土地の接収併合を、助けているというのだ。
イランのプレステレビは、これまでアメリカはアフガニスタンで、タリバンを穏健派と呼び、ソビエトに対抗する軍団に、仕立て上げてきたと述べている。今回のシリアの場合も、アメリカとイスラエルはシリアの穏健反政府組織と呼び、彼等のために活用してきているというのだ。
このところ、控えめだったシリアの反体制派側への武器供与は、最近になって増加しているようだ。その武器は今では公然とヨルダンの首都に近い、マフラク空軍基地に送られているということだ。
もちろん、アメリカやイスラエルは兵器や武器の供与ばかりではなく、両国の情報機関が集めた情報も、シリアの穏健反政府側に、提供しているということのようだ。
このプレステレビの情報が正しいとすれば、イスラエルはシリア南部の土地を併合し、今後ますます軍事的に優位に立てる、ということであろう。それは、イスラエルがヨルダン川の西側をヨルダンから租借して、今日に至るのに似ているのではないか。