トルコのエルドアン首相をめぐるスキャンダル問題は、日増しに激しさを増しているようだ。巨額の現金を受け取った閣僚は辞任、その子息たちは逮捕されている。
そうしたなかで、エルドアン首相は必死にスキャンダルを隠ぺいしようとし、『これは外国の陰謀だ。』と語り、検察や警察の幹部を左遷している。加えて、裁判所よりも法務省よりも、検察よりも権威のある組織(HSYK)を作り、法務相からの捜査逮捕命令と、検察警察に対する捜査の阻止を図っている。
しかし、ここまで来るとエルドアン首相の対策も、万策尽きたという感じではないのか。家族が賄賂として受け取った幾つもの別荘、彼の側近大臣の隠していた現金、イランビジネスマンと閣僚との関係など、枚挙にいとまが無いが、それが次々と暴露されるようになってきている。
こうした状況下で、野党各党はエルドアン首相に対する激しい、非難攻撃を行っている。CHPのケマル党首はエルドアン首相について、公の場で『嘘つきだ。』と決めつけ、自分の言っていることに嘘があるなら、裁判に訴えろとまで息巻いている。
MHPのバフチェリ党首も、『エルドアン首相は自分を守るために、法を支配しようとしている。』と非難した。この非難もCHPのケマル党首と同じように、公の場でなされたものだ。
MHPのバフチェリ党首はエルドアン首相は恐れのためにパニックに陥っているとも語っている。その現れは彼の最も信頼しているはずの法務相を、首にしたことだというのだ。
加えて、エルドアン首相はマスコミにも介入し、非難報道を阻止しようとしているということだ。彼に言わせればトルコの閣僚たちは、たかだか29歳のイラン青年ビジネスマンの、罠にかかってしまったということだ。
このイラン人ビジネスマンの名前はザッレブで、2人の閣僚の子息たちと関係があり、しかも官僚やビジネスマンとの関係もあったが、これらの関係した人物たちは、ことごとく汚職容疑でリスト・アップされているし、その一部はすでに逮捕されてもいる。
ケマル党首はエルドアン首相に対し、『恥を知れ、何年に渡って首相をやったら気が済むのだ。』とも非難している。エルドアン首相についても収賄の容疑がかけられているが、それは今のところ、エルドアン首相の首相権限で、法律を変更し、逮捕を逃れている状態だ。終電車のベルは鳴り始めたのだろう。