『エジプト大統領選挙立候補は2人か』

2014年2月10日

 

 エジプトで大統領選挙が3月末に予定されているが、今になってなお立候補者が現れていない。唯一立候補宣言したのはナセリスト党のハムデーン・サッバーヒ氏だけだ。

 それ以外にはアムル・ムーサ氏、アブルフットーフ氏、シャヒーク氏などが立候補の可能性を語られていたが、アムル・ムーサ氏は無言、アブドルモナイム・アブルフットーフ氏は立候補を断念している。

 シャフィーク氏もシーシ氏を推薦し、自身は立候補しないと早々に宣言している。加えてサラフィー党も立候補者を立てないようだ。こうした雰囲気の中で政治評論家の一人は『シーシこそがアッラーの遣わしたエジプトの救世主だ。』と語っている。

 確かにそうであろう。タマッロド運動の主宰者たちも、シーシ氏の立候補を待望している。しかし、肝心のシーシ氏は、未だに立候補宣言していない。それは何が原因なのであろうか。

 ある事情通はシーシ氏が暗殺を恐れているために、立候補をためらっていると言い、ある者は国防大臣であることは、エジプトの40パーセント以上の経済活動を支配することができるため、その方が得だからだと言っている。

 またある者は、シーシ氏はぎりぎりまで立候補宣言をせず、大衆が彼を支持する動きが拡大してから、腰を上げるとみている。それは十分にありうる話だ。シーシ氏は『国民が望めば立候補する。』と語っているからだ。

 もし、最終的にハムデーン・サッバーヒ氏とシーシ氏が立候補して、選挙戦を戦うことになれば、確実にシーシ氏が当選しよう。いまのエジプトに必要なのは、民主主義ではなく社会の安定を実現してくれる『力』なのだ。それ無しには、経済の再建は望めないからだ。

 シーシ氏の立候補については、サウジアラビアやアラブ首長国連邦、クウエイトなどが心待ちにしていよう。湾岸諸国の中ではアメリカに対する不信感が、イランやシリア対応で大きくなり、エジプトへの依存が高まっているからだ。

 それでいま進められているロシア兵器のエジプトの輸入では、湾岸の国が支払うと伝えられているが、サウジアラビアが全額負担することになっているのだ。

 それ以外にも、中国や韓国の兵器の輸入代金は、クウエイトとアラブ首長国連邦が、全額負担することになっているらしい。それにアメリカはどんな反応をこれから示してくるのだろうか。エジプトにとっては経済援助も含め、湾岸諸国との関係を改善させうる人物は、シーシ氏以外には見当たらないのだ。