『カタール人リビアから14・6万ドル持ち出しで逮捕』

2014年2月23日

 

 先週の土曜日、つまり215日(?)にリビアの東部の街ベンガジで、意外なことが起こった。それはベンガジ空港からトルコのイスタンブールを経由して、カタールのドーハに戻る、カタール人たちが捕まったというものだった。

 彼らは18万リビア・デナール(=146万ドル)を所持しており、しかも、偽のパスポートを所持していた、ということのようだ。そのうちの5人は確実にカタール人であり、残りの5人もほぼカタール人と思われるということだ。この不確かな判断は、パスポートが偽造であったからであろう。

 これが公開された情報のほぼ全てだが、何故そんなことが起こったのだろうか、ということについては、幾通りもの推測が出来る。

 カタールはシリアの内戦で始めの段階から、反政府派を支援してきている。その支援は資金面ばかりではなく、戦闘員の供給、武器の供与も含まれている。そして、このリビアの場合に関して推測できることは、カタール人がリビア人ジハーデストのリクルートに、関与していたのではないかということだ。

 リビア人はトルコ入国に際して、ビザを必要としないため、これまで多くのリビア人が、トルコを経由してシリアに潜入し、戦闘に参加していたのだ。

 カタール人たちはリビア側の誰か(あるいは組織)とコンタクトを取り、帰国するところではなかったかと思われる。そして、所持していた18万リビア・デナールは、シリアの戦闘に参加しているリビア人ジハーデストたちへの、支払いのためではなかったのかと推測される。

 リビア国内にはムスリム同胞団組織が存在し、同組織は相当規模にまで膨らんでおり、現リビア体制内では大きな発言力を持つに至っている。あるいは、カタール側がコンタクトした相手は、リビア国内のムスリム同胞団であったのかもしれない。

 ところで、最近になってサウジアラビアやカタールが,シリアの反体制側を支援し、戦闘を展開することに嫌気が差してきたと思わせる、幾つもの情報が飛び交うようになっているが、今回のカタール人一行が失敗した、リビア・デナール持ち出し作戦は、そのことに関係しているのかもしれない。

 つまり、シリアでの戦闘を終わらせるために、リビア人ジハーデストたちにボーナスを渡し、帰国させるという手はずだったのではないか。そうとでも考えなければ、いまどきリビア・デナールを、大量に持ち出す理由に、納得がいかないからだ。