『中東の今後―シリア』

2014年1月27日

 

 昨日帰国して今日職場に復帰した。インターネットを開いてみると、当たり前と言えば当たり前のニュースが伝えられていた。それは今年初めの私の予想に、極めて近いものだった。

:シリアの反政府FSA(自由シリア軍)とアルカーイダ系反政府組織が戦闘、FSA側死者6人。

:西側諸国はアサド大統領追い落としを急がず。

 当然だろう。FSA.はここに来て外国から入ったジハーデストなる殺し屋集団はシリアの国民の安全を守るものでも、民主化を実現するためのものでもない、闘いという名の殺戮を繰り返していたのだということに気が付いたのだ。

 彼等外人ジハーデストは、イラク・シャーム・イスラム国家樹立などと言っているが、それは表向きの話であり、残虐行為を繰り返し、シリアをズタズタにすることが、最終目的なのだ。

 そのことにやっと気がついたFSAは、アルカーイダ系組織などの外人ジハーデストとの戦闘に入り、一部は政府軍に復帰してもいた。まずは自国を守らなければならない、と真面目に考えた結果であろう。アサド体制を打倒しなければならないのであればまずは外人ジハーデストを掃討してからという結論に達したのであろう。

 西側諸国もシリア国内をだいぶ破壊し終えたいま、現実的な方向にシリアを向かわせる気のようだ。もし、今のままで闘いが続けられ、万が一にもアサド体制が打倒されることになれば、シリアはイスラエル攻撃最大の拠点国家になることを、懸念し始めたのだ。

現在のシリアには、イスラエル攻撃をする能力はない。そこまで軍事力は低下しているし、国内の諸施設がだいぶ破壊されたからだ。この状態でアサド大統領体制が続けば、イスラエルにとってはもっとも好都合な、状態が維持されるということだ。

既にシリアはイスラエルへの戦闘能力を失い、アサド大統領体制が続けば、国内再建が最優先されよう。そもそもアサド体制は父親ハーフェズの時代から、イスラエルと本格的な戦争などする意思はなかったのだ。それはいずれの戦争でも、イスラエルに敗れたという苦い経験が教えたものだった。

 シリア内戦問題は今後半年ぐらいで、収まる方向に向かおう。 その段階でシリア国民が目にするものは、全国規模の破壊と廃墟、そして膨大な数の死傷者。加えて帰還する何百万人ものシリア難民であろう。シリア内戦は何だったのかということを、シリア国民は悲しみの中に思い起こすのだろうか。