『ユダヤ第三神殿建設は吉兆か』

2014年1月15日

 

 ダビデの子息ソロモンが、最初にユダヤの神殿を現在のエルサレムに建設したのは紀元前の話だ。それが破壊されたのが紀元前586年、今で言うイラクのネブカドネザル大王によってだった。そして再度建設されたのが、紀元後70年の事だと言われている。

 その後も何度かそれらしいものが建てられたのだが、最初のものとは比べ物にならなかったのかもしれない。ゼルバベルの神殿やユダヤ人ではないヘロデによって、ゼルバベル神殿が補修されヘロデの神殿と呼ばれている。

 つまり、ユダヤ神の神殿はもうだいぶ前の話なのだが、ユダヤ人はこの神殿の再建を願ってきた。現在イスラエルの首相を務めている、ネタニヤフ氏の父親は、強烈なユダヤ主義者であったようだが、彼もユダヤの神殿再建を、強く望んでいた人物の一人だ。

 一説によれば、ネタニヤフ首相の父親は、イスラエル建国の重鎮であったが、あまりにも強いユダヤ主義者であったことから仲間に嫌われ、失望してアメリカに移住している。

 その彼がアメリカのユダヤ人に声をかけ、ソロモンの第三神殿を建てる石材をそろえている、ということのようだ。したがって、イスラエル政府がソロモンの神殿の再建を決定すれば、アメリカから石材が送られ、神殿はたちまちにして、完成する事になる。

 ところが、ソロモンの神殿が建設されるべき場所には、現在ではイスラム教のモスクがあるのだ。しかも、ソロモンの神殿の立てられるべき正確な場所には、イスラム教では重要な、岩のドーム・モスクがあるのだ。

 この岩のドーム・モスクが建てられる前に、イスラム教の預言者がその岩の上から、白馬にまたがり天に昇り、アッラーに拝謁したとされている。したがって、このモスクを壊して、その場所にソロモンの神殿を建てるとなれば、パレスチナ人ばかりではなく、世界中のムスリム(イスラム教徒)を敵に回すことになろう。

だが、イスラエルのウリ・アリエル住宅建相は、ソロモンの神殿再建を政府の委員たちと、再検討し始めているということのようだ。しかし、それは本格的なものではないようだ。

 そもそも、ソロモンの神殿が建てられた後に、ユダヤ人はその都度、苦難の歴史を記している。今回、もしソロモンの第三神殿建設が、強引に進められるようなことになれば、イスラエル国家は崩壊し、ユダヤの民は再度世界に散らばるのかもしれない。