昨年の7月に、サウジアラビアのバンダル情報長官が訪ロした折、同長官はプーチン首相に対し取引を持ちかけた。それは『ソチ・オリンピックを成功させたければシリアから手を引け』というものであったと言われている。これに激怒したプーチン首相は、『報復する』と語ったと伝えられた。
最近になってロシアのボルゴグラードで、テロ事件が発生し32人が死亡し100人以上が負傷している。これは明らかなバンダル情報長官の指図による、ロシアへのテロ攻撃であろう。
ロシアの情報機関はこのテロの新犯人探しをしてきたが、ほぼ間違いなくサウジアラビアが背後で操る組織によるものだ、と断定したようだ。犯行組織はコーカサスを拠点とする、コーカサス・カリフェト組織によるもののようだ。
この組織のスポンサーはサウジアラビアであり、2010年、2011年に起こったロシアの地下鉄爆破事件の、犯人だとも目されている。サウジアラビアあるいは、バンダル情報長官個人と言った方が、正確かもしれないが、パキスタン、イラク、シリア、レバノン、イエメンなどで、これまでテロを行った各組織の、背後にいるとされている。この犯行はタクフィール組織によるものだとされているが、タクフィール組織とコーカサス・カリフェト組織は関係深いようだ。
この情報をもとにして、考えなければならないことが二つある。
:ソチ・オリンピックは相当危険なものになる可能性がある。つまりテロ事件が起こる確率が高いということだ。
:ロシアがサウジアラビアの関与を確定した場合には、ロシアによるサウジアラビアに対する、軍事攻撃が実施される可能性が、極めて高いということだ。
ソチ・オリンピックがテロによる犯行で、危険度が高くなった場合には、日本の選手団の派遣をどうするか、今から検討しておく必要があろう。危険を承知で選手団を派遣することは、まさに自殺行為であろう。
ロシアによるサウジアラビアに対する、軍事攻撃が実施された場合、その攻撃対象は首都リヤドなのか、あるいは軍事施設なのか、あるいは石油施設なのか、いずれの場合でも日本の政財界には、相当な衝撃が起こるだろう。
サウジアラビアのバンダル情報長官の火遊びは、両刃の剣であり、サウジアラビアにとっても、大きな打撃を与えることになることを、覚悟すべきであろう。バンダル情報長官はパパ・ブッシュと親しかったこと、彼が相当の資金を握っていることで、自身の能力を過信したのであろうか。はた迷惑な話ではないか。