『サウジアラビア知りすぎた男の末路』

2014年1月 7日

 

 昨年の11月19日、レバノンの首都ベイルートの南郊にある、イラン大使館前で爆弾テロがあり、イラン大使館スタッフ6人を含む25人が死亡し、150人ほどの人たちが負傷した。

 この爆弾テロは、アブドッラ―・アッザーム・グループによる犯行であり、同グループはアルカーイダにつながる組織だ。その後、このアブドッラ―・アッザーム・グループを背後から動かしていた人物が、マジェド・アルマジェドという名のサウジアラビア人であることが判明した。

 マジェド・アルマジェドは逮捕されていたことが、レバノン政府によって今年の1月1日に、明らかにされた。彼は肝臓病を患っており、逮捕後に、レバノンの軍事病院に入院させられていたという説と、留置所に入れられていた、という情報とがある。多分留置所に入れられた後に、軍事病院に移されたのであろう。

 逮捕後に分かったことは、マジェド・アルマジェドがサウジアラビアの情報機関のメンバーであり、サウジアラビアを始め、イラク、シリア、レバノン、アフガニスタン、パキスタンなどで活動していたことが、明らかになった。

 こうなると、サウジアラビアにとって、マジェド・アルマジェドが生存していることは、極めて不利になることになる。彼を取り調べれば、これまで彼がどのような活動を、何処で行っていたのかが、全てばれてしまうからだ

 マジェド・アルマジェドはその後、レバノンの軍事病院で1月4日に死亡するのだが、どうも彼の死には、サウジアラビアが関係していたのではないか、という情報が流れ始めている。つまり口封じのために、サウジアラビアがマジェド・アルマジェドを、殺害したということだ。

 サウジアラビアの情報機関のトップはバンダル王子であり、彼が進めている各種の、秘密作戦の一端がばれるということは、バンダル王子にとって不都合なばかりではなく、サウジアラビア政府やサウジアラビアの王室にとっても、不利であろう。

 つまり、マジェド・アルマジェドは知りすぎた男ゆえに、サウジアラビア政府

によって殺害された、ということではないのか。彼を殺害するには、幾らでも方法があった。

 攻撃を加えている時は優位に立っていても、一旦その逆の動きが始まった時、意外に防御が手薄になってしまうのかもしれない。秘密工作員は肝臓病に罹っていたというが、あるいは精神的な重圧から、彼は酒を飲み過ぎていたのかもしれない。