『バハレーン反体制派の新たな動向』

2014年1月 5日

 

 ペルシャ湾のバハレーンは、湾岸諸国のなかで最も古くから(1931年)、石油開発が行われていた国だ。現在では石油はほとんど枯渇しており、同国が輸出する石油はサウジアラビアが、無償提供しているものだといわれている。

 この国の国民構成は、国王がスンニー派であり、多くの高官がスンニー派なのだが、スンニーは国民の割合は少なく大半を占めているのはシーア派だ(65%)。このためスンニー派政府がシーア派国民を差別している、という不満がだいぶ前からくすぶっていた。

 その不満が表面化したのは、2011年から始まった、アラブの春革命の動きだった。同国でも政府に対する平等を叫ぶ、平和的なデモが始まり、それに対する政府の対応が強硬であったことから、デモは次第にエスカレートしていった。

 バハレーンのすぐ北には、シーア派の大国イランが控えている。そのイランが何時シーア派革命を、バハレーンに輸出するのかが、専門家の間で大きな関心を呼んでいた。

 しかし、イランの介入の具体的な情報が、なかなか伝わってこなかった。だが、今年に入りその一片が表面化した。それはバハレーンの反体制派の人物がイランに居住し、彼が武器の調達や、バハレーンのシーア派国民をリクルートし、イラン国内で戦闘訓練をしている、という情報が流れてきたのだ。

 その人物の名はアリー・マフード・アルムサーウイで、彼は武器や爆発物を入手し、バハレーンの治安部やその他の重要施設に、攻撃を仕掛ける計画を持っているということだ。

 アルムサーウイはバハレーンのシーア派教徒をリクルートし、イランで革命防衛隊の指導の下に、軍事訓練をさせているということのようだ。相当数のメンバーが、今ではイランやイラクに居住しており、そのうちの2人が武器を密輸しようとして、逮捕されている。彼らはイラク訛りのアラビア語を、話していたということだ。

 当然の事ながら、バハレーン政府はこうした流れのなかで、イランの革命防衛隊がミリシアを訓練し、バハレーンの空港や政府の施設に対するテロ行為を、行おうとしているとして、イラン政府に抗議しているが、バハレーンのシーア派は、これを否定している。

 バハレーン政府は反政府派との対話会議を呼びかけたが、反政府のシーア派組織であるアルウイファークは、これを拒否している。今回この情報が出てきたこということは、新たな動きの兆候であろうか。