『アルカーイダの実態と将来』

2014年1月 3日

 

 中東にほとんど興味を持っていない日本人でも、アルカーイダという名前を知らない人は少ないだろう。アルカーイダとはアラビア語で、軍事基地のことを言うのだが、それが今では中東地域全体に、存在するようになって来てる。

 そもそも、アルカーイダは、アフガニスタンをソビエトが軍事占領している時代に、ムジャーヒデーンというジハードを戦う人たち(聖戦の戦士)の集まりがあり、それはアフガニスタンのタリバンなどと、協力してソビエトと戦う外国人だった。

 なかでも、サウジアラビアから来たウサーマ・ビン・ラーデンは、サウジアラビアで建設業などを営む、ビン・ラーデン財閥の御曹司であったために、資金に事欠く事は無く、アラブからアフガニスタンの戦闘に参加したい人たちに、旅費を出してやっていた。

 武器も彼の資金でまかなった部分が多い。そして、アフガニスタンからソビエト軍が撤退すると、彼らはアルカーイダなる組織を結成し、中東地域を手始めに、イスラムの敵や腐敗体制の打倒に動き出した。

 その対象国はサウジアラビアであり、イラクでありシリアであり、リビアであり、今ではエジプトにまで乗り込んでいる、と伝えられている。またアメリカで起こった911事件では、その背後にアルカーイダがいたと言われている。

 ウサーマ・ビン・ラーデンの死後も、アイマン・ザワーヒリが後継のリーダーとなり、アルカーイダは存在し続けている。イラクシリアのアルカーイダ、アラビア半島のアルカーイダ、マグレブのアルカーイダなどと、アルカーイダは中東全域に広がり、アフリカ諸国にさえ浸透している、と伝えられている。

 しかし、そのアルカーイダが本当に一つの組織であり、アイマン・ザワーヒリの指導によって、動いているのかは分からない。これは私の推測だが、強力な結びつきで、アルカーイダが広範な地域に、展開しているとは思えない。

 実は各地に存在する、アルカーイダと名乗る組織は、アルカーイダと連絡をとり、支部のような形になり、活動しているのではないか。あるいはアルカーイダと連絡を取らずに、アルカーイダを名乗っている組織も、あるのではないかと考えている。

 しかし、一定の成果を挙げると、アルカーイダはその組織を、自分たちの一部だと認めるように、なっているのではないか。それはその組織にとっては、自分たちの組織が強大な組織の一員のように見せることが出来、大きな脅威を与えることが出来るからだ。

 他方、アルカーイダ側は自分たちの組織が、広範にわたって活動しているイメージを、持たせることが出来、世界の国々が恐れるようになる、というメリットがあろう。これは日本のチンピラとやくざ組織の関係に、似ているのではないか。

チンピラは大きなやくざ組織の一員のように振る舞い、やくざ組織はチンピラが成果を挙げると、正式な構成員として、認めるという構図だ。

そうした推測が事実であるとすれば、各組織は出来るだけ派手な行動をし、残忍な行動をすることにより、世間にアピールしようと考えるであろう。シリアの戦闘で、政府軍兵士の死体から肺を取り出して、かじって見せたヌスラの戦闘員の行為などは、その典型であろう。

しかし、アルカーイダもそろそろ、賞味期限が切れそうだ。近い将来、アルカーイダは中東世界の表舞台から、姿を消すものと私には思える。そうあって欲しい。