『シリアの尼僧人質事件の真相と難民が迎える冬』

2013年12月 8日

 

 先週の122日月曜日、シリアのダマスカスに近いマアルーラの町にある、マール・タクラ・ギリシャ正教教会がヌスラなどの、ジハード組織とシリア軍との戦闘の末、ジハード組織の手に落ちた。その結果、この教会に奉仕する12人の尼さんと、3人の使用人がジハード組織の人質にされた。

 人質になった人たちの数は、13人の尼さんと3人の一般人、という情報もある。彼女らがどのような扱いを受けているのかが、世界中のキリスト教徒を始めとする人たちの、強い懸念と関心を呼んでいたが、128日になり、彼女たちが置かれている状況の一部が、報道された。

 これはビデオが流されて明らかになったのだが、尼さんたちは何時ものように、黒衣をまとい普通に生活し、礼拝も行っているということだが、行動の自由が認められているわけではなさそうだ。彼女らを見たというシリア人ジャーナリスト、ムハンマド・ゼホウリがそう報告している。

 尼さんの一人はビデオの中で『いい一軒家で非常に幸福に暮らしている。私たちは人質ではない。』と語っているが、その尼さんも発言がジハーデストたちによって、強制されたものなのかどうかは不明だ。ジハーデスト側はこれから、彼女たちをどう利用しようと考えているか、いまの段階では不明だが、人間の盾として使うということが考えられる。

 ジハーデスト側は尼さんたちの釈放については『アサド大統領が投獄した、1000人の女性受刑者たちを、釈放することが交換条件だ。』と語っているということだ。

 さて、この尼さんを人質にとった組織だが、アハラール・アルカラムーンという名の組織で、アルカーイダと深い関係にあるヌスラ組織と、連帯している組織だと見られている。尼さんの処遇に関しては、アハラール・アルカラムーン組織の、アブ・アッザームという人物が責任者のようだ。

 シリアの反政府側には、今でもヨルダンから大量の武器が、反政府側のジハーデストに送られている、という情報がある。その武器の提供者はサウジアラビアであり、カタールであり、アメリカということのようだ。

 シリアの状況は悪化しているということは、疑う余地も無い。ジュネーブのシリア問題をめぐる国際会議には、いまだに西側が支援する、シリアの反政府派の代表が決まっていないようだ。

 混沌のシリア情勢のなかでは、シリア難民が増加し、死傷者が確実に増え、女子供がその最先頭に置かれるということだ。難民キャンプでは寒さと飢えのために、多数の死者や病人が出るだろう。トルコの国境の難民キャンプも、ヨルダンの難民キャンプも、レバノンの難民キャンプがる場所でも、冬には雪が降るのだから。