ジュネーブで開催された、イランの核問題をめぐる会議は、イランに希望を十分抱かせるものであった。つまり大きな進展が見られ、イランは欧米から受けていた経済制裁も、一部緩和されることが決まっている。
このことにより、欧米各国の企業はイラン詣でを始めている、ただアメリカはジュネーブ会議の合意以前に、アメリカ企業のイランへの進出を、裏取引していたように思われる。多分、そのことに気がついたフランスが、第一回目のジュネーブ会議で、賛成しなかったのではないか。
しかし、その後フランスとイランとの間で、これもまた秘密裏に取引が行われたために、フランスは第二回ジュネーブ会議で賛成に回った。フランスとイランとの間に裏取引があったと思われるのは、第二回ジュネーブ会議の後、フランスのルノー社など自動車関連企業の進出が、目立っているからだ。
イランが世界の市場に向けて自由になれば、当然最優先されるのは石油とガス取引だ。これも欧米の企業が早速飛びついている。つまり、現段階ではこれまでのイラン敵視と制裁が嘘のように消え、欧米企業によるイラン詣でが激しいということだ。
こうなると、イランが強気になるのは当然であろうか、イラン政府はアラブ首長国連邦やオマーン、クウエイト、などに特使を送って両国関係について話し合っているし、カタールからは首長がイランを訪問している。
カタールの首長はイランに対し、同国が中東地域で強国になることは、地域の安定につながるとまで称賛しているのだ。イランは仇敵のサウジアラビアに対してすらも、関係改善を呼びかけている。
イランがこうした流れの中で打ち出したのが『ペルシャ湾周辺諸国自由貿易圏構想』だ。この構想が湾岸諸国に受け入れられれば、イランは相当のビジネスチャンスを、持つに至るのではないか。
欧米諸国、湾岸諸国がこうまでもイランになびくということは、今後イランが地域政治と国際政治の上で、大きな力を持ち始めるということかもしれない。いまアメリカが手を焼いている、アフガニスタンからの撤退問題、イラク問題、シリア問題と、イランは全ての問題に直結する立場にある。
日本も早めにイランとの関係を再検討する方が、得策ではないのか。