『エジプト反体制派亡命政府設立と言うが』

2013年12月 1日

 

 エジプトの前大統領モルシー氏を支持するグループが、亡命政府設立を模索し始めているようだ。その中心人物はオサーマ・ルシュデイ氏で、彼はガマーア・イスラーミーヤのメンバーだ。この組織はムスリム同胞団から分離した組織であり、根底ではムスリム同胞団と気脈を通じ合っていたのであろう。

 オサーマ・ルシュデイ氏は73日に軍が起こした行動(彼らはクーデターと呼んでいる)を強く非難し、そのトップであるシーシ国防大臣を、国際刑事裁判所(ICC)に訴え出る、という考えのようだ。

 オサーマ・ルシュデイ氏は国際刑事裁判所(ICC)に提訴することに合わせ、エジプトで起こっている状況は人権を阻害するものだ、ということも訴え出るつもりのようだ。

 このオサーマ・ルシュデイ氏は、去る73日に起こった軍による変革時に、イギリスに逃れている。その後、トルコやパキスタンなどで、国際会議を開催し、エジプトの現体制を非難し続けている。

 エジプト軍の独裁とファシスト的統治に、強く反発し非難している、ということだ。このオサーマ・ルシュデイ氏の、国外で展開している反体制会議活動は、何ら違法ではないと本人は主張している。 

 現段階では反クーデター連合という名の傘下に、40以上のエジプトのイスラム組織や、非イスラム・グループが参加しているということだ。

 しかし、このオサーマ・ルシュデイ氏の活動は、現状を見る限り、成功しないのではないかと思われる。それはエジプト国民の大半が、一日も早い国内安定を望んでいること、エジプト国民の大半がシーシ国防大臣にリーダー・シップを取って欲しいと願いっているからだ。

 モルシー派がどれだけ声高に叫んでも、彼らがエジプトの国内を安定させ、経済を活性化させる、妙薬を持っているとは思えないからだ。一説によれば、シーシ国防大臣を大統領にしようという署名運動には、既に4000万人のエジプト国民が、サインしたとも伝えられている。

 常識的に言えることは、一度大きな流れが起こった場合、それを止めるのには、何十倍もの力が必要となる、ということだ。世俗派のエジプト国民を、うまく取り込めれば話は別だろうが、これまでの経緯を考えると、そう簡単ではあるまい。 

世俗派はモルシー体制に反対し、630日の大規模デモを行い、それが軍の行動を引き出したのであり、これから世俗派とムスリム同胞団が連携して、現体制を打倒するとは思えないからだ。