2日前のアルハヤート紙のブログが伝えたところによれば、リビア南部の軍事基地でカダフィ派のミリシアが、武器を大量に確保したという情報があった。その武器は機関銃だけではなく、臼砲やロケットも含まれていたというのだ。
つまり、カダフィ派のミリシアは、本格的な戦闘ができる状態になった、ということであろう。これまでもカダフィ派の動向については、断片的な情報が流れていたが、いま一つ核心に迫るものではなかった。
カダフィ派がこれまで、本格的な動きに出なかったのには、それなりの理由がろう。リビア政府が国民に対して安全を確保し、かつ生活を保障してやれなければ、やがては支持されなくなるが、そうなると反政府の各派が、思い切った行動に出るようになる。
このところリビアでは、ベンガジのアンサール・イスラーム・グループなどが、リビア政府軍と真っ向から武力衝突しているし、トリポリやミスラタ、シルテ、デルナなどでも、同じようなことが起こっている。
カダフィ派はリビア国内にあって、最も資金的にも武器の装備でも、勝っているものと思われる。カダフィ大佐が隠匿した資金や武器の在りかの、一部を知っているのは彼らだからだ。
カダフィ派はリビア国民の政府に対する不満が、頂点に達した段階で表面に出れば、国民の支持を得られると思っているのかもしれないし、今がその時期だと判断しているのかもしれない。
カダフィ大佐の次男サイフルイスラーム氏は、リビア南西部のズインタン市の刑務所に収監されているが、決して悪い処遇を受けてはいまい。彼がカダフィ資産の隠匿場所の全てを知っているからだ。
そうなると、今後ズインタンの地方事務所や警察、軍隊が、サイフルイスラーム氏を釈放し、新たなリーダーとして担ぎあげる、可能性も否定できないのではないか。
かつてカダフィ大佐の盟友だった、アブドッサラームジャッルード氏も最近表面に出て『リビアはシャリーア(イスラム法)をベースにした、民主国家になるべきだ。』と語っている。
他方では、アリー・ザイダーン・リビア首相が『石油施設に対するテロ攻撃が止まないのでは、給与の支払いが不可能になる。』と語っている。リビアの混沌はまさにここに極まれり、という感じであろうか。
1ヶ月ほど前だったと思うが、中東訪問時に会ったビジネスマンは『カダフィの息子にもまともなのがいる、この状態でリビアの混乱が続けば、彼に出番が回ってくる可能性もあろう。』と語っていた。大混乱のリビアに今後何が起こるのかについて語ることは鬼が笑おうが、あえてカダフィ派の台頭を取り上げてみた。そして、カダフィ大佐の次男サイフルイスラーム氏の、復権の可能性にも触れてみた。