CNNのブログに、面白い記事が掲載されていたのでご紹介しよう。それは、この時期になぜイランが欧米との、核合意を受け入れたのか、ということに対する答えだ。
CNNの記事によればおおよそ以下の項目が、イランをして欧米との核合意に至らしめた理由だということのようだ。
:イランの外交能力を示した合意
:アメリカの軍事攻撃阻止出来る合意
:イラン国内強硬派の台頭阻止する合意
:イラン保守派の立場を守る合意
:アメリカに死を証明する合意
:イランの保守派を喜ばせる合意
:制裁の解消の合意
:やり直しができる合意
:アメリカの次期大統領選挙前の合意
:サウジアラビア・イスラエルを除いた合意
簡単に言ってしまえば、今回の核合意はイラン側の国内的問題を、カバーすることができた合意だった、ということであろう。そして、その合意が硬いものではなく、若干の修正と解釈の自由が含まれていたことによるのではないか。
それは、アメリカにとっても同様であろう。アメリカも硬い合意を交わしたのでは、あとになって不都合が生じた場合に、立場を完全に変えざるを得なくなるからだ。玉虫色ともいえる合意の仕方は、ある意味では東洋的手法であったのではないのか。それはイラン外交の勝利であろう。
今回の合意が欧米とイランとの間で成立したことにより、サウジアアビアとイスラエルは、完全に合意の外に置かれたことになる。イスラエルは早速アメリカに食い下がっているようだが、だからといって、合意内容が大幅に変更される、ということはあり得ない。
イランが欧米との間で合意に至った結果、イランは話し合える相手だということを、世界に証明したことになるが、それとは反対に、イスラエルの頑なさが、世界的に顰蹙を呼ぶことになりそうだ。
サウジアラビアは今回の合意によって、アラブ世界ばかりか湾岸諸国の中での、主導的位置も失ったのではないのか。来年1月のシリア問題会議でも、サウジアラビアには出番があるまい。