アラブ首長国連邦が、世間を騒がせる映画を製作した。それはムスリム同胞団についてのものだ。サウジアラビアのアルアラビーヤ・テレビはこの映画の放映権を得て、映画は公開されるものと思われる。
その映画の内容は、アラブ首長国連邦におけるムスリム同胞団の、秘密活動を題材にしたものであり、相当部分が逮捕されたムスリム同胞団メンバーの、証言を基にしているようだ。
最初の部分では、ムスリム同胞団がどのように、アラブ首長国連邦内で秘密活動を展開し、最終的に逮捕されるに至ったのかを記録している。
次いで第二部では、ムスリム同胞団が取調べから裁判に至る中で行った、証言を記録したものだ。
これは全てが実録であり、証言や証拠を元に製作されているだけに、否定のしようが無いだろう。もちろん、拷問によって自白させられたという、クレームも付けることが、出来るかもしれない。
この映画の製作に当たっては、アラブ首長国連邦から外国に逃亡した、ムスリム同胞団員に対しても、インタビューが試みられたようだが、ほとんどは拒否されたということだ。
映画そのものを見ていないので、現段階では何も断言できないが、この映画が公開されることによって、湾岸諸国では相当の衝撃が走ろう。ムスリム同胞団に資金提供をしていた者、ムスリム同胞団にシンパシーを抱いていた者、ムスリム同胞団の秘密会合に、顔を出していた者たちなどだ。
そして、ムスリム同胞団の秘密活動に資金提供していた者、ムスリム同胞団のメンバーになっていた者たちは、相当厳しい立場に置かれることになろう。今後、彼らに対してはしかるべき取調べが行われ、罰則が果たされると考えるべきであろう。
ムスリム同胞団員がナセルの時代に(1950年代から1960年代に掛けて)、エジプトを逃れ湾岸諸国で活動し、あるものは巨万の富を手にして、資金をムスリム同胞団に提供していたし、しかるべき政府の地位を得た者は、他のムスリム同胞団員の湾岸諸国への移住を手伝い、仕事を世話してきていたものと思われる。
今回の映画製作とその一般公開は、ムスリム同胞団の危険性を、湾岸諸国の人たちに知らしめると同時に、政府がいかに厳しい対応をしてきていたのかを知らしめよう。それはムスリム同胞団の湾岸地域を初めとする、世界展開上大きなマイナスとなることは、疑う余地も無い。