『北アフリカからの訪問者との語らい』

2013年11月20日

 一昨夜、北アフリカのある国から来た友人と、夕食を共にした。奥様が初の来日ということもあり、和食レストランに招待した。彼女が気に入ってくれたのは、こちらとしても嬉しかった。

 その食事の中で友人は『イラクとリビアの状況は極めて似た感じだと私は見ている。』 と言うのだ。それは何故かと尋ねると、彼は両国とも石油やガス資源は、人の住んでいない場所にあることだというのだ。

 リビアのトリポリやベンガジでは、毎日のように銃撃戦が起こり、数十人の死者が出ているが、当分収まりそうな雰囲気はない。リビア政府はどう対応していいのか、分からないという感じだ。

 イラクも同様で、バグダッドを始めとする大都市では、毎日爆弾テロで何十人という死傷者が出ている。シーア派対スンニー派の争いが収まらないためだというのだが、それが主因であろうかと疑いたくなる。イラクも膨大な量の石油ガスを埋蔵する、大エネルギー資源国なのだ。

 したがって、西側諸国も周辺諸国もその資源を狙い、何とか食い込もうとしているし、そのためにはテロをあおることもやぶさかではないのだ。宗教的宗派間対立という言葉は、誰が聞いても納得しやすいのだが、それが真実とは限らないのではないか。

 これまでアラブの幾つかの国々で起こった、アラブの春なる革命は結局のところ、外国の機関による工作がその裏にあったことが、明らかになっている。もちろんそうしたことは、一般のマスコミでは伝えられないのだが。

 さて、その友人に今後はどうなると思っているのかを尋ねてみると、彼は当分というか、相当長期間に渡って混乱が続くだろうというのだ。石油やガスの産出する地域が、戦闘地域から離れていることは、外国(石油ガスを購入する側)にしてみれば好都合なことであり、都市部でどれだけ戦闘が続き死傷者が出ようが、痛くもかゆくもないということだ。

 確かにそうであろう。毎日のように数十人の死傷者が出ているイラクも、一日三百万バーレル以上の石油を生産しているのだから、戦闘が起ころうが続こうが、エネルギー市場には影響を与えないということだ。リビアもしかりで百万バーレル程度の石油が生産されている。

 ところで、サイフルイスラーム・カダフィはどうなるのかと尋ねると『リビア人もバカではない、ICCが彼の引き渡しを要求してもそうはしないさ、サイフルイスラーム・カダフィはリビア国内に隠匿されている、カダフィ資金の在りかを知っている唯一の人物なのだから。

ICCはそのカダフィ資金を奪いたくて言っているのであり、サイフルイスラーム・カダフィに対する、公平な裁判が目的ではないよ。』と言うのだ。しかりであろう。だからサイフルイスラーム・カダフィは未だに辺鄙なリビア南西部のズインタンに留め置かれているのだ。トリポリに移送した場合、外国のグループによって何時強引に、連れ去られるかわからないのだから。

 そうだとすれば、サイフルイスラーム・カダフィに対する、ズインタンでの処遇は、意外にいいものなのかもしれない。それだけではなく近い将来、彼がリビアの最高権力者に返り咲くこともあるかもしれない。すでに、リビア政府はオスロでカダフィ派との、秘密交渉を始めているという情報もある。