『敵の敵は味方のサウジとイスラエル』

2013年11月19日

 湾岸の盟主であるサウジアラビアにとって、敵対するイランが核兵器を持つことは、極めて不愉快なだけではなく、危険なことであろう。もちろん、イランが核兵器を持ったとしても、それをサウジアラビアに対して使うとは思えない。

 しかし、サウジアラビアにしてみれば、メンツを失うことになるし、イランとの各種の交渉でも、不利な立場に立たせられることになろう。つまり、サウジアラビアに限らず核兵器を持たない国は、持つ国との交渉で腰が引けてしまうということだ。

 そうしたなかで、最近しきりに語られているのは、サウジアラビアと同様にイスラエルが強い立場を失う不安に、さいなまれているということだ。イスラエルが核兵器を持っているだろうという推測は、ほぼ確実であろう。

 そのイスラエルの核兵器保有による、中東地域での優位が、イランの核兵器開発が進めば、一気に崩れてしまうからだ。サウジアラビアと同様にイスラエルもまた、真剣にイランの核兵器開発に対する対応を、検討していることは間違いあるまい。

 サウジアラビアの敵であるイラン、イスラエルの敵であるイラン、そのイランと二つの国の関係が、本来仇敵であるはずのサウジアラビアとイスラエルとの関係を、改善させたという話が出てきている。

 サウジアラビアの政府高官、多分バンダル情報長官であろうが、イスラエル側と秘密交渉を重ね、イランの核施設に対する攻撃を、イスラエルにやってもらいたいということだ。

 その際、サウジアラビアはイスラエル側に対し、イランに対する空爆の場合は、イスラエル機がサウジアラビア領空を、通過することを認めたというのだ。そして、それ以外の便宜も図るということのようだ。

もしこのことが事実であるのならば、サウジアラビアがイスラエル機への 燃料の補給や、兵器の一部貸与も行われるのではないかと思われる。サウジアラビアもイスラエルも、基本的にはアメリカ製の兵器を揃えており、イスラエル軍がサウジアラビアの兵器を使うことには何の問題も無く、事前の訓練も必要としないだろう。

 一説によれば、サウジアラビアはイスラエル側が必要とする、無人機、ヘリコプター、空中給油機などを提供する、意思があるということだ。もちろん、これら全てについてサウジアラビアは否定している。

サウジアラビアとイスラエルとの間には、未だに外交関係が無いことも事実だ。しかし、サウジアアビア政府がここにきて、イスラエルとの協力作業をしていないと否定したことや、イスラエルと連絡を取らないことを決めたという情報は、逆にイスラエルとの連絡があったことを、示しているのではないのか。