昨年あたりから、サウジアラビアに対する、批判報道が増えてきているような、気がしてならない。それは、その対象国に対する攻撃の、第一歩の場合が多いのではないか。
かつてはリビアのカダフィ大佐が『狂犬』と呼ばれ、彼の統治は血にまみれた独裁的なものであり、諸外国に対するテロ行為の、カダフィ大佐はボスだ、と報じられていた時期がある。
イラクのサダーム・フセイン大統領の場合も同様で、WMDの保持者、独裁者としばらく報じられた後で、アメリカによって軍事攻撃を受け、サダーム・フセイン体制は崩壊した。
今回のサウジアラビアに対する批判報道の増加は、リビアやイラクと同じことの前兆なのであろうか。最近ではサウジアラビアとアメリカとの関係が、悪化しているとも報じられたし、実際にサウジアラビアはアメリカの意向に、反した動きを示しもした。
国連安保理の理事国就任拒否も、その典型的な例であろう。イランやシリアに対するアメリカの対応変化に対する、不満も同様であろう。
しかし、そのこととサウジアラビア政府が実施している、斬首刑は何の結びつきもないが、実行していることは許せまい。外国から安価で雇い入れられた外国人たちが、サウジアラビア国内で不法な行為をしたとして、斬首刑に処せられることは、非人道的な行為の典型であろう。
パキスタン人がサウジアラビアで、麻薬の取引に関係していたということで、斬首刑に処せられたし、その後ではサウジアラビア政府が強化した、外人労働者に対する処遇をめぐり、エチオピア人が警察に銃殺されている。
サウジアラビアではいま、16000人の外国人労働者が、非合法滞在者として逮捕され、刑務所に投獄されてもいる。
その前には女性の運転許可をめぐって、政府は強圧対応をとってもいる。サウジアラビアのイスラム法学者は女性の運転の可否について『女性が車を運転するのは腰の関節を悪くし、出産に悪影響を与える。』と説明しているが、へ理屈でしかない説明であることは、誰にも分かろう。
それ以外にも、サウジアラビアのバンダル情報長官が、アルカーイダや世界のテログループのボスだ、スポンサーだという記事が増えてきている。サウジアラビアがイスラム諸国に対して、テロを行っている国家だ、という非難記事も登場している。 これらは、今後サウジアラビアに対する欧米の対応が、厳しくなっていくということの、前兆ではないのか。