『気になるユダヤ人をめぐる二つの記事』

2013年11月 4日

 

       

 最近になって、イスラエルとアメリカとの関係に、多少問題が発生してきているような気がする。それはアメリカのイランやシリアに対する対応が、どうもイスラエルの希望通りにはなっていないからだ。加えて、アメリカ国内の経済悪化から発生している、貧困層の拡大もあろう。

 イスラエルはこうしたことからか、事の外、敏感になってきているような気がする。それはあたかも、韓国の日本に対する敵意とねたみの心情と、通じているような気がするのだが。

 最近ドイツでは『今日の反セム主義』という50分番組が、テレビで放映されたそうだ。特別に反ユダヤ、あるいは反セム的ではなかったのだろうが、こうした番組がドイツ国内で製作され、放映されるということは、ドイツ人の多くが『反セム』『反ユダヤ』『反ホロコースト』といった言葉に対し、反感を感じるようになってきているのではないのか。

 最近では、ネオナチの政党NDPやグリーン党などが、イスラエル人によるパレスチナの西岸への、強硬入植に対する反発が生まれており、入植地の製品に対する不買運動を、始めているようだ。

 これについて、イスラエル側からは『チベットを占領する中国に対しては、占領地製品に対するボイコットを起こしていないのに、何故イスラエルの場合だけボイコットされるのか。それは中国の人口が13億であり、イスラエルのそれが700万人だからではないのか。』という反論が出ている。

 しかし、ドイツ人の側からは『イスラエル人によるパレスチナの土地、西岸地域への強硬入植は許されないし、そこで生産されたものを我々が買うことは、パレスチナ国家の設立のアイデアを破壊することだ。』という意見が出ている。

 もうひとつは、イスラエルのリーベルマン国防委員会委員長の発言だ。彼は常にセンセーショナルな発言をして、世間の人たちの耳目を集めてきたが、今回の発言もその類であろうか、あるいは真実を語っているのであろうか。

 リーベルマン国防委員長は南アフリカのユダヤ人が、危険の淵に立っているとし、一日も早く南アフリカから逃げ出さなければ、大量虐殺の犠牲になる、と語っているのだ。

 述べるまでも無く、南アフリカは一大ダイヤモンドの産地であり、一部のユダヤ人にとっては、手放せない国であろう。南アフリカには相当前からユダヤ人が住み着き、今日に至っている。

 リーベルマン国防委員長は何を根拠に、南アフリカでユダヤ人に対する大虐殺が起こると言い出したのであろうか。それは南アフリカの閣僚の発言がもとになっているようだ。南アフリカの閣僚はイスラエルとパレスチナの状況は、アパルトヘイトに似ていると言うのだ。

 そのため、この閣僚は『パレスチナ人たちの闘争はわれわれの闘争でもある』ということだ。リーベルマン国防委員長のこの発言を踏まえた上でだろうが、南アフリカのユダヤ人は異なる意見を述べている。

 彼によれば『政府に対するスタンスと、大衆に対するスタンスには違いがあり、南アフリカの反セムは世界レベルで考えて、最も低いのではないか。ここではユダヤ人の歴史は長く、ユダヤ組織は深い根を張っている。』ということだ。

 リーベルマン国防委員長の発言は無い問題をあるとして、世界から南アフリカのユダヤ人移住のための資金集めと、それの伴う受け入れのための施設建設のための、寄付を集めることに目的があるのではないのか、そうかんぐりたくもなるのだが。最近の世界の潮流が、ユダヤ人に対する大虐殺や、ホロコーストの再現でないことを祈りたい。