『少しずつ変化し始めたかトルコのシリア対応』

2013年11月 3日

 トルコはサウジアラビアやカタールと並んで、シリアの反体制派を強力に支援してきていた。サウジアラビアやカタールがシリアの反体制側に送る、資金と武器の通過地点としての役割を、トルコは果たしてきていたのだ。

 その武器のなかには、サウジアラビアが西側の国から秘かに購入して、提供したといわれている、化学兵器も含まれていたようだ。しかし、そのことはいまだに明確な証拠はないようだ。もちろん、欧米の情報機関はそのことを、詳しく知っているはずだ。

 シリアのアサド政権は時間の問題で、打倒されるだろうという予測が、関係している国々の間では、だいぶ早い段階からあったろう。したがって、アメリカがささやくように、シリアの反体制派を支援することは、自国の国益になると判断していたのが,サウジアラビアでありカタールであり、トルコだったと思われる。

 しかし、最近になってアメリカが軍事力を行使して、アサド政権に終わりを告げる可能性は、限りなくゼロに近づいたため、状況は一変した。そのような流れになったのは、ロシアの外交努力もあっただろう。

 また、サウジアラビアが送り込むシリアの反体制側への支援部隊(ジハーデスト?)による蛮行が、あまりにも目立ったこともあったろう。しかも、彼らはシリアのアサド政権を打倒した後は、シリアをイスラム原理主義の国家にする、と息巻いているのだ。

 これでは欧米諸国は賛成できまい。そこで欧米諸国の間には反体制のなかでも、外人部隊(ジハーデスト)に武器や資金が渡らないようにしようという、コンセンサスが生まれた。

 しかし、欧米諸国がそう決めても、サウジアラビアやトルコは、そう簡単に方針転換をすることが出来るはずが無い。それは両国がシリア問題に、あまりにも深く関与し過ぎていることと、アサド体制が残る形で問題を終わらせた場合の、危険性が高いからであろう。

 だが意外な味方が、トルコに現れ始めているようだ。それはイランがトルコに対し、今後のトルコとシリアとの関係の仲介を、始めたのではないかと思われるからだ。つい最近、イランのムハンマド・ジャワド・ザリーフ外相がトルコを訪問し、エルドアン首相と話し合っている。

 その後の発表で、トルコがシリアに対する立場を変更したとは言わないが、トルコとイランが近隣国の和平に寄与すると発表している。そのことが、シリア問題への対応だということは、専門家や政治家の間では明らかであろう。