あるアラブのブログが、突然ハメネイ師の異常を伝える記事を掲載した。それがイランにとっては、重要な問題となる可能性が、きわめて高いのでご紹介しておくことにした。
その記事によれば、イランの最高権威者であるハメネイ師が、最近20日間以上も人前に出ていないということだ。本来であれば何かあるごとに、彼のところには要人たちが詰め掛け、指導を請うているのだが、それが最近は全く無い、ということのようだ。
たとえば、イスラム教の記念日であるイードルアドハやイードルフィトルなどの日には彼は決まって演説をし、多くの政府要人や宗教界の大物、そしてイラン国民たちの訪問を受けるのが普通だ。
しかし、今年のガデールの日に、彼は演説をしていないし、要人などの訪問も受けていないということだ。このガデールの日とはイスラム教の後継者が決まった記念の日なのだが、シーア派では特に重要な日なのだ。
この異変に気が付いたイラン人の間では、諸悦が飛び交っている。たとえば、ハメネイ師が健康上で問題を抱え、病気治療をしているのではないか、という全うな説がそれだ。彼は74歳と若くは無い、既に高齢に属しているのだ。
それ以外に語られているのは、ロウハーニ大統領の訪米の折に、オバマ大統領がロウハーニ大統領に、電話したことが原因だという説だ。つまり、ハメネイ師はオバマ大統領とロウハーニ大統領が、電話であれ会話をしたことを、不愉快に思っているというのだ。
確かに、ロウハーニ大統領の訪米後、ハメネイ師は賛否両方のコメントをしている。つまり、不愉快な部分も多分にあったということなのだが、国内の状況を考えると、真っ向から反対することも、出来なかったということであろう。
イラン国民は現在経済的苦境にあり、アメリカとの正常な関係を構築することを望む国民が、大半を占めているからだ。もしそれを無視して、ハメネイ師がロウハーニ大統領の外交を非難すれば、イラン国民のハメネイ師に対する支持は、下がることになるからだ。
もう少しうがった意見もある。それはハメネイ師よりも高位にあったアヤトラのラフサンジャニ元大統領の外交が、イラン国民の間で支持を高め、アメリカからもそれに呼応する動きが始まったため、ハメネイ師側はラフサンジャニ氏に、一歩先を越されたというのだ。ハメネイ師病気説はラフサンジャニ師に近い人物から流れ出したと言われている。真偽不明だが検討の余地はある。