イスラエル機が、今週の水曜日(10月30日)か木曜日(10月31日)に、シリアの海岸の都市ラタキア市を空爆したようだ、アメリカもそのことを確認していることから、ほぼ間違いなかろう。
イスラエル政府はこのことについて、コメントを拒否しているが、イスラエルにとって不安なのは、中長距離ミサイルがシリアからレバノンの、ヘズブラ組織に供与されることだ。
このことについ、アメリカ政府は今回のイスラエルによる空爆は、シリアのミサイル破壊が目的だった、とコメントしていることから、イスラエルがシリアからヘズブラにミサイルが渡ることを、阻止する目的の空爆であったことがわかる、
イスラエルはこれまでにも、1月にシリア領内を空爆している。この場合もシリアの輸送トラックが、ヘズブラにミサイルを輸送するのを、阻止するためだったとアメリカ政府は説明している。
ラタキア市の空軍基地には、S-125地対空ミサイルがあったとされている。
攻撃拠点については異説があり、ラタキア市ではなく、ラタキア市から30キロ南にある、ジャブレ市だったとも言われている。このジャブレ市はアサド大統領寄りの、アラウイ派市民が多く居住する街だということだ。
いまのシリアはイスラエルが空爆しても、軍事行動を起こすことは、ほぼないだろう。それよりも世界の世論が、イスラエル非難に回ることを、期待しているのではないか。アサド大統領は、現段階では穏忍自重をしている方が、結果的に得策だと考えていよう。
しかし、レバノンのヘズブラはどうかというと、そうも言いきれない。最近ではシリアに派兵したことが、ヘズブラ支持者たちの間から非難が出てきている。ヘズブラ支持者たちに言わせると、イスラエルに対する攻撃はジハード(聖戦)だが、シリアで戦うことはジハードとは解釈し難い、ということのようだ。
ムスリムがムスリムを殺害することは、イスラムでは厳しく禁止されている。したがって、ジハードという認定は、シリアでの戦闘には当てはまらず、死亡した場合は単なる戦死であり、聖戦の死者(シャーヒド)にはならないのだ。
こうした状況が、ヘズブラと支持者内部にあることを考慮すると、ヘズブラも軽々にはイスラエルに対して、攻撃をかけにくいのではないのか。