『中東3大国の共通点』

2013年11月27日

 

 中東地域の3大国と言えば、エジプトとトルコ、そしてイランが挙げられよう。面白い事にこれら3国には、複数の共通した部分が見られる。

 まずこれら3国には長い歴史があり、一大文明を築いているという点だ。エジプトには古代エジプトの文明があり、ファラオは世界中で知られている王様であろう。トルコは述べるまでもなく、オスマン帝国の末裔なのだ。中東から中央アジアそして北アフリカを統治した、このオスマン帝国の歴史もまた偉大なものだ。

 イランにはペルシャ帝国があり、ペルシャの高い文化は、アラブにその影を未だに留めている。アラビア語の単語は動詞過去男性形を語根とするが、それは3つの文字から成り立っている。例外的に4文字から成り立っているのは、ペルシャから入ってきた言葉だといわれている。

 これら3つの国はそれぞれに誇るべき歴史がある、ということがお分かりいただけたろうが、そればかりではない。現代でもこれら3国は、若者の人口に占める割合が高く、そのことは強力な軍隊を結成することができるということだ。

もちろん生産の場でも、この若者の存在は大きな力となっているし、新しい物を欲しがる若者の数が多いということは、潜在的に大きな市場だということでもある。

これら3国は多くの若者を抱え、強力な軍隊を組織できる状況にあり、しかも、武器の生産が可能でもあるし、実際に多くの進んだ兵器を持ってもいる。その使用についても、しかるべきレベルに達している。

もう一つこれら3国に共通した優位性は、国際的に極めて重要な海と、接しているという点だ。エジプトはスエズ運河を擁しており、この運河を通過しなければ、世界の貨物はアフリカ南端の、喜望峰を経由しなくてはならないのだ。

トルコもまたしかりで、黒海から地中海に抜けるボスポラス海峡は、トルコの支配下にある。東ヨーロッパやロシアの海軍は、この海峡を通過しなければ、黒海から地中海そして世界の海で、展開することが出来ないのだ。

最後のイランについても、ホルモズ海峡を支配する国だということだ。この海峡を通過する物資の量は、ものすごいものであることは言うまでもないが、世界の消費する石油ガスエネルギーは、ほとんどがこのホルモズ海峡を、通過しているのだ。

  もし、イランがホルモズ海峡を封鎖すれば、世界経済は大打撃を受けることは必至であり、エジプトのスエズ運河を経由しなければ、世界の物資は運賃で高騰することになろう。また各国の海軍は非効率な動きを、しなければならなくなるだろう。

 ボスポラス海峡もしかりだ。以前からアメリカはトルコに対し、黒海沿岸に海軍基地を建設したいと申し入れているが、トルコ側は受け入れていない。ボスポラス海峡を経由して、アメリカ海軍が黒海沿岸に海軍基地を持つことになれば、対東欧、ロシア、中央アジア戦略上、アメリカは極めて有利な立場に、立つことが出来るからだ。

 これら中東の3大国はこうした優位性を生かし、先進諸国に対し一定の影響力を、及ぼしているということであろう。さて、それでは日本にはどんな優位性があるのだろうか。中国とロシアの太平洋への出口を抑えているということであろうか。あるいは平均的レベルの高い学力と、勤勉性の高い国民であろうか。