トルコでは来年、大統領選挙が実施される予定になっているが、その大統領選挙には現在首相職を務める、エルドアン氏が立候補することが、ほぼ確定している。同氏は現段階で推測すると、確実に当選することになろう。
実はそのことが、与党AKP(開発公正党)内部に、問題を生み出している。強引な手法のエルドアン氏の政治方針に対し、与党内部の穏健派が、反対し始めているのだ。
たとえば、与党AKP結党時からのメンバーである、幹部のギュル大統領や、ブレント・アルンチ副首相はエルドアン氏の大統領就任を、快く思っていないといわれている。これまで与党内部で調整が図られ、妥協点に至ったのだが、エルドアン氏の性格からすれば、それが確実に守られず、暴走することが予測できるからだ。
こうなると、エルドアン大統領誕生時に、誰が首相職を担うかが、問題になってくる。これまではギュル大統領が首相職に就くのではないか、という予測があったが、両氏の関係悪化があり、そうも行かない雰囲気になってきている。
そうしたなかで、突然挙がってきた首相候補がいる。彼の名はハカン・フェダン氏だ。彼は現在情報長官職に就いているが、まだ48歳と若く政治的な経験も、不足しているといわれている。
ハカン・フェダン氏をめぐっては、何かと噂に事欠かない。彼はイランと通じている、彼はイスラエルと通じているという噂が、トルコ国民の間ではささやかれているのだ。
つい最近、ハカン・フェダン氏がイラン人で、イスラエルのためにスパイを働いている人物10人の名が、彼によってイランに流された、ということがイスラエル側によって非難された。
もちろんこの話は、ダウトール外相が否定しているが、いまだに真実味をもって語られている。この漏洩事件についてあるトルコ人は、ハカン・フェダン氏を持ち上げるために、イスラエルが仕組んだものだと語っていた。つまり、ハカン・フェダン氏がイスラエル側によって糾弾されれば、彼は逆にトルコ国民の支持を、集めることができる、ということのようだ。
こうした経緯を頭に入れて、ハカン・フェダン氏の首相職就任を考えると、なるほどと思われるふしもある。しかし、彼の首相職就任は、経験不足であることなどから、エルドアン大統領のイエス・マンになり、政治運営が出来ないというのが、専門家の共通した評価のようだ。それがエルドアン氏の足を引っ張ることになるのは、確実であろう。