『バハレーン・カタールの将来が不安に』

2013年10月26日

 

 最近の欧米の動きを見ていると、近い将来、バハレーンとカタールが不安定化してきそうな気がしてならない。それは、欧米のマスコミの記事が極めて、非友好的な内容になってきているからだ。

 以前からバハレーンでは、シーアは国民に対する差別があり、国民のなかに不満があったことは欧米はよく知っていた。しかし、バハレーンにはアメリカ海軍の巨大な基地があったためか、シーア派に対するバハレーン政府の弾圧と差別は、欧米のマスコミではあまり取り上げられなかった。

 しかし、欧米マスコミはここに来て頻繁にバハレーンの、シーア派国民によるデモが報じ、それに対して政府がデモ潰しに動き、主要な反政府派の人士を投獄し、拷問していると伝えるようになった、

 カタールの場合もワールド・サッカー大会の開催に向けて、建設工事が急ピッチで進められていることに関連し、そこで働く外国人労働者が多数事故死していることや、待遇が極めて非人道的であることが、詳しく報じられるようになってきている。

 インドやパキスタン・スリランカなどから来ている労働者たちは、パスポートを取り上げられ、給料も支払われないで粗食を与えられ、極暑の中で危険な作業を強いられていることも伝えられた。

 当然のことながら、これはさすがに無視出来ない、ということであったのだろうか。ここに来てカタールの外人労働者に対する、取り扱いが極めて悪いことを、欧米のマスコミは軒並みに、報道するようになってきている。

 そればかりではない。アメリカのイランに対する対応が柔らかくなってきており、オバマ大統領は議会に対して、これ以上の制裁を行うべきではない、と語っている。オバマ大統領によれば、イラン側にも妥協の姿勢が見え、交渉をしている段階で、アメリカ側がイランに新たな制裁を加えることは、交渉を失敗させかねないからだ、ということこのようだ。

 しかし、バハレーンにしろカタールにしろ、多数の国民がシーア派であり、イラン寄りの考えを持っており、反政府的であることを考慮すると、アメリカのイラン対応は、両国政府に対する敵対行動とも取れる。

 カタールには湾岸諸国で最大のアメリカ軍基地が存在し、アメリカ軍が存在するからサウジアラビアの脅威も、イランの脅威も感じないで来られた。バハレーンも同様に、アメリカ海軍の基地を有していることが、絶対的なアメリカによるバハレーンの安全保障だ、と信じてきていたであろう。

 それがいまになって、アメリカの両国に対する対応に変化が生まれたのだ。アメリカはイランとの関係を改善する上で、両国に対し冷遇する必要が出てきたのかもしれない。あるいは両国のシーア派国民の待遇改善を、図ろうとしているのかもしれない。