国連安保理がサウジアラビアを、同安保理の理事国に指名した。それはサウジアラビアにとって、きわめて名誉なはずである。ましてや途上国が指名されることは、先進諸国の決定に影響を与えることが出来るわけだから、願ってもないことのはずだ。
しかし、サウジアラビアはこの理事国入りを、拒否したのだ。その表向きの理由を『国連安保理が公正ではなく、ダブル・スタンダードだからだ。』と説明している。
サウジアラビアはいままで、シリアの内戦に深く関与してきている。反シリア派に対し、これまで相当巨額の資金を供与し、しかも武器も供与してきているのだ。
一説によれば、サウジアラビアがアルカーイダなどの、イスラム原理主義者側に、資金と武器を提供することを条件に、多数のジハーデスト(聖戦の兵士?)たちを、世界中から集めさせ、反シリア政府の戦闘に、送り込ませていたということだ。そのサウジアラビアの行動を、欧米や国連が影で歓迎していた。
しかし、最近になってシリア問題に対する国連や、アメリカ、ヨーロッパ諸国の対応は様変わりし、ロシアの提案した化学壁の国連管理と破壊が主流になり、このままで行けば、シリアはアサド政権が優位に立つことになる。
そうなれば、一番手痛い仕返しを受ける危険性があるのは、サウジアラビアであろう。サウジアラビアにしてみれば『シリアのアサド体制は必ず打倒するから協力してくれ、とアメリカも国連も言っていたではないか。しかし、最近
の流れを見ていると、それとは全く逆の方向に向かっている。』ということであろう。
つまり、サウジアラビアはアメリカやヨーロッパ諸国、そして国連の口車に乗せられて、悪役というかピエロ役を演じさせられていた、ということだ。その結末は、サウジアラビアに対する国際的な非難が、今後高まるということであろう。
最近、アメリカは16億ドルものバンカー・バスター・ミサイルを、サウジアラビアとアラブ首長国連邦に売りつけている。それはイランに対してしか、使いようが無い代物だ。もちろん、サウジアラビアはイランに対して、それを使う気はないだろうが、イラン側にはサウジアラビアを敵対国と非難する、立派な口実になろう。
こうした事情が、サウジアラビアをして国連安保理理事国就任を、拒否させたのではないかと推測するのだが、諸兄のお考えがいかがであろうか。