『欧米のイラン対応の雲行きが変わっている』

2013年10月13日

 

 帰国してあちこちのブログを読んでいたら、イランに対する欧米の雲行きが変わっていることを実感した。毎日見続けていると気がつき難い場合もあるが、少し時間を空けてみると、意外なことに気がつく。

 イランに対する欧米、中でもアメリカの対応が変わるであろう事は、だいぶ前に予測として書いたが、今まさにそれが動き出しているということであろう。イギリスはイランとのあいだで、公使の派遣を近日中に実施すると発表した。

 その前には、イギリス政府がイランの銀行に、不当な罪をかぶせ、50億ドル()の損失を生み出させたことで、イギリス政府が賠償するという話があった。それは明らかな外交的前進の兆しだと考えた。

イギリスに留学しているイラン女子学生のヴィザ問題も、この銀行への賠償支払いの話の後に、あっさりと解決したという話を聞いた。既に明らかな兆候ということであろう。

 振り返ってわが国だが、岸田外相のイラン訪問が、11月に決まったという話を読んだ。適切な状況判断であろう。既にヨーロッパ諸国のなかでは、ドイツもフランスもイランとの間で、活発な外交を展開しているのだ。

 イランが何故いま急速に国際舞台に、復帰しているのかについて考えると、シリア問題があろう。シリアと関係の深いイランが仲介役に乗り出すことで、解決への目処が立つ可能性が高いからだ。

 加えて、イランが持つ莫大なエネルギー資源に、欧米がやっと食指を伸ばし始めたのであろう。今でもサウジアラビアが、世界一の埋蔵量を誇っていると言われるが、同国はスイング・プロデユーサーにされ、石油価格が高騰する度に、大量に生産させられてきた。イランはそうした状況に無かったために、石油資源が温存されているのだ。

 もうひとつの理由は、イランが欧米の経済制裁を、34年間も受け続けてきたために、インフラや機械、設備の老朽化が進んでおり、それが巨大な潜在マーケットとなっているということだ。

 欧米は散々イランを追い込んだ上で、いまそのおいしいビジネスに、手を出そうとしている、ということではないのか。ただ、その場合にイランが欧米の企業を優先するのか、あるいは日中韓国の企業を、優先的に相手にするのかは不明だ。