トルクメニスタンに行く前後に、トルコのイスタンブールに滞在した。今回はそのなかで、庶民の台所事情を聞くことが出来た。順風満帆の経済発展が、内外で話題になっていた頃とは異なり、今回は厳しい意見が多かった。
ある知人は子供が小学校へ行く前の、プレスクールとでも言えばいいのか、一年間の学校が始まったといった。何処の親も同じだが、そうなると子供に新しい服を、着せてやりたいと思うようだ。
その知人も例外ではなく、長男に新しい服を買ってやったと言っていた。しかし、そうなると下の娘にも、買ってやらないわけにはいかない。学校で使うクレヨンや鉛筆なども、そろえる必要がある。それなりに出費がかさんだようだ。
『現金がなくなるとカードで支払い、そのカードの引き落としがあると、現金はあまり残らないんです。結構大変ですよ。』と語っていた。庶民の大変な台所事情はなんとなく分かる。物価はインフレの中で上がっているが、給料は増えていないのだ。
トルコはシリアからの難民を多数抱え込み、その支援が馬鹿にならない、シリアからのテロの侵入にも、備えなければならない、世界の経済が低迷であることも、輸出に響いている。
それらの付けがみな庶民に回ってきているのだ。しかし、エルドアン首相はあまり気にしていないようだ。『選挙でわが党は50パーセント以上も、得票している。それだけの支持のある政党が国を運営するのは民主主義だ。』という考えのようだ。
インテリの友人と話すと彼は『トルコはシリアに関与しすぎた。これからその付けが回ってくる。既にその影響はあちこちに見えている。』と語っていた。近隣諸国との善隣友好関係は一時期成功したが、今では全ての近隣諸国との関係が、ギクシャクしている。
イラン、イラク、シリア、エジプトとの関係は悪化の一途をたどっている。それをごまかすためか、ダウトール外相はバルカン諸国との、善隣友好関係が進展していると言っていた。しかし、その言葉には真実味が無い。
エルドアン首相の強気政策は、国内でも反発を生み出し、与党内部でもだいぶ不満が溜まっているようだ。高得票率を盾に『自分の政治が正しい』と強気になっていられる時期は、既に過ぎたのではないのか。彼が名誉を保っていくには、辞任が最善の選択肢かもしれない。男は引き際が肝心なのだから。