アメリカ政府がバハレーンの内政に、関与し始めたようだ。述べるまでも無く、アメリカにとってバハレーンは湾岸諸国の中でも、最も重要な国家のひとつだ。それは同国に、アメリカ海軍の基地があるからだ。
しかし、既にご承知の通りバハレーンでは、マジョリテイを占めるシーア派国民に対する、差別が存在することから、これを撤廃する要求デモが、長い間続いてきている。
もちろん、アメリカにしてみれば、バハレーンの国内が安定していることが、望ましいに決まっている。アメリカ軍が駐留するバハレーンが、差別国家であり、非民主的国家ということになれば、それをアメリカは黙認しているのか、という非難を受けることになろう。
そこでアメリカ政府は不正蓄財をして評判のシェイク・ハリーファ・ケブリヤート首相を槍玉に挙げたようだ。同氏はバハレーンの土地開発や、石油企業、アルミ製造会社に深く関与して、莫大な富を蓄財しているといわれている。
問題のあるバハレーン政府の高官は,彼だけではあるまいが、彼は王家の人物ではないことが、槍玉に挙げられた理由ではないか。
しかし、こうした問題は一人の人物を槍玉に挙げて、片付くとは限らない。これを機に、次から次と不正問題、不当逮捕問題が表面化し、ついには、シーア派活動家の投獄と、獄中での虐待といったことが明らかになり、世界の耳目を集めることに、なるのではないか。
そうなればバハレーン王家にとっては、きわめて深刻な問題となっていこう。これまで湾岸諸国以外のアラブ諸国は、押しなべて『アラブの春革命』という津波に襲われてきている。しかし、ここに来て湾岸諸国も、その例外ではないという兆候が、出始めたのかもしれない。
シリアに対するアメリカの対応が、変化し始めたことから、シリアの反体制側を支援してきた、サウジアラビアやカタール、そしてトルコは非難を浴びる、危険性が出てきているし、シリア入りしていたジハーデストが、これらの国内で活動を活発化する、危険性も出てきている。
既にトルコでは爆弾テロが起こっており、政府はそれがシリアにいる、アルカーイダの一派ヌスラ組織が関与したものではない、とシリアの反体制側がトルコ国内で活動を始めたという噂の、火消しに必死だ。
カタールの不安定化についても、多くの情報が既に流れている。そして、バハレーンの場合は国内混乱を、未然に防ぐための工作が、アメリカによって始められたということか。