シリア内戦が続いてすでに、2年半の歳月が経過している。その間に10万人以上の犠牲者が出ているし、200万人以上の難民が発生している。その影響はシリアの周辺諸国にも及び、トルコやヨルダンでは具体的な形で、シリア内戦の拡大現象が起こっている。
シリア内戦はまるで磁石でもあるかのように、世界中の戦闘員を引きつけている。彼等は勝手に自分たちの事を、ジハーデスト(聖戦の戦士)と名乗っているが、やっていることは残虐行為以外のなにものでもない。
そのジハーデスト(?)の数が増え過ぎたために、本来、シリア体制に反発して始まったシリア人の抵抗組織、FSA(自由シリア軍)の影が、薄くなってさえ来ている。そこから新しい展開が、シリアに生まれてくるのではないか、という期待を私はし始めている。
:外国からのジハーデストの数が増えすぎて、戦闘の主役がFSAから外人ジハーデストに変わっている。
:外人ジハーデストの行動は目に余るほど残虐なものだ。
:外人ジハーデストたちはシリアを、イスラム国家にしようと考えている。
こうしたことはFSAの望むところではあるまい。そのため、FSAは今になって外人ジハーデストの影響力を抑えたい、あるいは追放したいと考え始めているはずだ。
そのような推測を裏付けるような、幾つかの兆候がある。一つはFSAとシリア軍が秘密交渉を始めたことだ。つまり、もうこれ以上外人ジハーデストをのさばらせてはおけない、ということであろうか。
もう一つ、周辺諸国の国境沿いで、比較的優位に戦闘を展開している、外人ジハーデストたちに、国の中心部で戦闘するよう、FSAが仕向けていることだ。それはシリア軍には攻撃し易くなる、といということではないだろうか。
アメリカにしても、反シリア組織をこれまで支援してきた、サウジアラビアやカタール、トルコといった国々にしても、最終的にシリア内戦が自国にも、少なからぬ影響を与えて来る危機感を、持ち始めているのではないか。
既にご報告したように、トルコではトルコの青年たちが、シリア内戦にスカウトされているし、シリアとの国境地帯では、既に被害が発生してもいる。ヨルダン国内には直接的な影響は及んでいないが、武器の搬入があり、シリア難民キャンプでの戦闘員のスカウトが、行われているのだ。