シリアの内戦には世界中から義勇軍が集まっている。その数は10万人。アルカーイダ系列のヌスラ組織には1万人が参加しており、戦闘グループの数は1000組織といわれている。
これだけの数の戦闘員が集まるということは、資金が何処からか出ているからに他ならない。サウジアラビアやカタールがスポンサーであり、戦闘員が手にする月給は800ドルと伝えられている。西アジアや中東諸国の若者にとっては、結構高収入ということなのであろう。
そして以前にもお伝えしたが、ただ人殺しをやりたいというヨーロッパ人も、結構な数が入っているようだ。その数は1000人を超えているといわれている。
問題は、このシリア内戦の通過ポイントとなっている、トルコ社会に起こっていることだ。トルコはサウジアラビアやカタールから届けられる、武器や資金をシリアの反政府組織に、手渡す場所になっており、戦闘員もトルコを経由して、シリアに入っている。
最近になって、これら反シリア政府の各テロリスト集団が、トルコの南東部、つまりシリアに近い街で、若者をスカウトして、戦闘員にしているということだ。戦闘のビデオなどを見せて、トルコの若者を洗脳し、戦闘員に仕立て上げている、ということのようだ。
あるトルコ人の父親が息子から電話をもらい、何処にいるのかと尋ねると、シリアのある街で戦闘に参加している、という返事なのでそこに会いに行った。もちろん戦闘をやめさせて、連れ戻すことが目的だった。
しかし、彼の息子を抱え込んでいる組織の男は、その父親に『信仰心の無い堕落した男なら殺す』といって追い返したというのだ。父親はやむなくその場から離れ、帰国したということだ。
実はトルコの若者で、シリアの内戦に参加している者の数は、数100人にも上っており、相当数が犠牲になっているということだ。トルコの若者たちがスカウトされているのは、シリアとの国境に近い街であり、この辺には多くのクルド系トルコ人や、アラブ系トルコ人が住んでいる。
したがって、シリアで起こっている戦闘は、クルド系トルコ人にとっては、自分の同族の戦争であり、アラブ系トルコ人にとっても、同様なのであろう。それがスカウトする側に、容易に洗脳することができる環境を、提供しているのではないか。
この反シリアの内戦に参加する若者たちを救えるのは、トルコの政治家ではあるまい。宗教家や家族、部族ではないのか。