トルコ政府がミサイルを始めとする、高度な兵器の輸入先を、アメリカから中国に変更することになった。その輸入がどの程度のものであるかは、分からないが、トルコが希望していたミサイル・システムを、アメリカ側は40億ドルと提示したのに対し、中国は30億ドルという金額を提示したというのだ。
これでは当然のこととして、トルコは中国と契約をすることになろう。しかも、トルコのエルドアン首相が構想している、テクノ・パークを中国が設立に協力してもらい、兵器産業技術の移転を、図りたいということのようだ。
トルコのエルドアン首相は、何でも自国で生産したいと望んでおり、中国から兵器の生産技術を提供してもらい、将来的には戦闘機も自国で生産することを、夢見ているということだ。
これまで韓国もトルコの兵器産業への協力をしてきていたが、今後はもっと本格的な長距離ミサイルを含む、兵器開発を中国との協力のもとに、進めていくということであろう。
問題は、このトルコのエルドアン首相の方針に対して、アメリカが気分を害しているということだ。述べるまでもなく、トルコはNATOのメンバー国であり、ヨーロッパやアメリカ以外の兵器武器が、トルコによって使用されることは、軍事協力面で支障をきたすということになろう。
もちろん、兵器の価格は巨額であるため、トルコがアメリカに替えて、中国との取引を拡大していけば、アメリカは相当なダメージを、受けることになろう。そのことから何が起こるのかは、想像の範囲だ。
エルドアン首相はこれまで、兵器産業を始め、手広く種々の分野で活動してきたコチ・グループとの関係を、断絶することも進めるようだ。そのことは、兵器輸入にからんでいた関係者が、利権を完全に失い、その分野での主役が完全に入れ替わるというとでもある。
エルドアン首相のアグレッシブな方針は、称賛に値するものだが、同時に極めて危険なものでもあろう。エルドアン首相が構想しているように、中国との兵器産業分野での、自主開発が進んでいくのか。あるいは、外部からの圧力によって、その構想が潰されてしまうのか。トルコのエルドアン首相は大きなかけに出た、ということであろう。