ロシアのプーチン大統領は、シリア問題をめぐって、重要な発言をしている。それは、シリアの問題がやがて決着をみるときが来るだろう、という前提に立ってのものだ。
プーチン大統領はシリアで今戦闘を展開している、イスラム過激派を中心とするテロリストが、やがては中央アジアに移動し、そこで新たな戦闘を展開するという予測だ。
その候補地はタジキスタンを始めとする、アフガニスタンに、隣接する国々であり、ロシアはそれを防止するために、これらの国々に協力を余儀なくされるだろうという内容だ。
しかし、このプーチン大統領の発言を読んだ時、一番最初に頭に浮かんだのは、
中東アジア諸国ではなく、シリアの内戦に直接関与している、トルコであり湾岸諸国だった。
シリア問題は時間の問題であり、結論は 既に見えているのではないか。アサド大統領派が勝利するか、テロリスト側が勝利するかだ。もちろん、テロリスト側が勝利するとすれば、それはアメリカの後押しがあってのことであり、テロリスト各派が単独で、シリア軍に勝利できるとは考え 難い。
トルコが危険になる要素はいくつかある。すでに、トルコのギュル大統領はトルコ国内にシリアで戦闘を展開している、テロリスト集団が存在することを警告している。
トルコはシリアと900キロの国境を接しているのだから、テロリストたちが
シリア軍との戦闘で不利になれば、トルコ領内に逃げ込むのは、当たり前のことであろう。同じ懸念をダウトール外相も最近になって、口にしているのだ。
シリアで現在展開しているテロリストたちは、湾岸のサウジアラビアやカタールによって、資金と武器を提供されているといわれている。トルコはそのテロリストがシリアに侵入していく、経路となっているのだ。
当然のことながら、過去2年の戦闘の中で、これらのテロリストとトルコの軍や情報機関との間に、密約が交わされているものと思われる。そのことは、テロリストが既にトルコ国内に、拠点を構えているということでもあろう。
シリアという戦闘血を失った後、これらのテロリストがトルコ国内で戦闘を展開する、あるいはテロ活動を展開する可能性は高いだろう。現段階でもPKK(クルド労働党)のゲリラが、トルコ国内では臨戦態勢を崩していないのだ。
加えて、シリア北部のクルドやイラク北部のクルド、そしてトルコのクルドとの間の連帯が生まれつつある。シリア国内で既に始まっている、クルド人とイスラム過激派テロリストとの闘いが、今後激化して行けば、彼らの戦場はシリア北部とトルコ南東部にまたがるのではないか。