最近イランで次のような事件が起きたらしい。外務省の海外安全情報に載っているので、調べれば分かる。どうもその情報を見ていると、日本人は外国で警戒するという気持ちを、全く持っていないように思えるのだが。
9月24日午後10時頃、テヘランのアーザーデー広場から、ホメイニ空港に向かおうとしていた日本人旅行者が、バス停留所を探していると自分の車で送ってやるという、白タクの運転手から声をかけられた。
ご本人は空港へ行くのを急いでいたのかもしれないが、その誘いを受け車に乗った。やがて運転手は彼の友人を呼び同乗させ、その男がナイフを突き付けて、日本人旅行者を脅し、現金(80万円)、スマートフォン、旅券、衣類、書籍などの入ったスーツケースを奪い、翌日朝まで連れまわされ、最後には車から引きずり降ろされ、畑の中に連れて行かれそうになり、何とか逃げたという話だ。
最近になってイラン国内では、日本人を狙った強盗事件や窃盗事件が、頻発しているということだ。
この情報を読んで感じたことは、夜中に白タクに乗るという無防備な日本人は、何を考えていたのかということと、現金を80万円も持っていたということだ。2~30万円なら分からないでもないが、現金でこれだけの金額を持っていたのは、絨毯でも買おうと思っていたからであろうかと友人と話した。
今年だったと思うが、女子大生が夜中にタクシーに乗り、事件に会い殺害されたというニュースが、報道されている。今回の被害者は男性だったのであろうか。男なら安全と考えたのであれば、あまりにもお粗末な話だ。
この手の事件は、何もイランに限ったことではない。いま世界は富める者と貧しい者の、二つに分かれている。そのために犯罪は起こりやすい。しかも、映画もテレビも、犯罪物が多すぎて犯罪を犯す者が、あたかも英雄でもあるかのように、取り上げられている。
情報の世界同時発信も、犯罪を助長しているのではないか。日本でも犯罪者の手口を真似して、似通った犯行を行うという、連鎖反応が起こったことが何度かある。イランの場合はもっと単純に、連鎖が起ころう。
以前、リビアを旅行している人たちに、何故リビアかと尋ねたところ、リビア砂漠の満天の星空の下で、寝たいから来たと答えていた。彼等は犯罪には遭遇しなかったようだが、安易な気持ちで旅行していることに変わりはない。いわば彼等は、犯罪の犠牲者最有力候補ということだ。
豊かになるということは、何処まで人を無防備にするのだろうか。日本人の心が緩み過ぎているからか。『そこは日本ではない!』と大声で言ってあげたい。