『日本企業はサービス精神を忘れたのか』

2013年9月25日

 中東に住んでいる友人からメールが来た。その人は大分強い不満を、日本のコンピューター・メーカーに抱いているようだ。

 その人いわく、日本のメーカーは使う人たちの事を無視して、いいものだから買えという感じがしてならないというのだ。いわく『韓国のコンピューター・メーカーはキー・ボードにアラビア語があるのに、日本のコンピューター・メーカーはそうはなっていない。『アラビア語のキー・ボードのプラスチックのカバーをしたらいいだろう。』という姿勢のようだ。これではどうしても日本のコンピューターよりも、韓国のコンピューターの方が売れることになりますよ。』

 コンピューターのキー・ボードにアラビア文字をプリントすることは、そう難しいことではあるまい。中東のマーケットは小さくないはずだ。つまり、日本のメーカーは手抜きをしても、自社製品は売れるという、尊大な気持ちで中東市場に、対応しているのではないのかということだ。

 韓国のサムスンの携帯電話が、世界市場で大きなシェアを持ったが、コンピューターも同じであろう。携帯電話の場合、技術的に韓国のサムスンの製品が、飛びぬけて優れていたわけではないが、お客のニーズを早めにつかみ、対応していったからであろう。もちろん宣伝広告の効果もあるが。

 日本企業はコンピューターばかりではなく、他の製品の場合も同じような傾向が、あるのではないのか。その原因の一つは、現地に駐在する社員が、現地の市場の状況をつぶさに本社に報告し、改善を要請するという姿勢が、欠落しているからであろう。

 最近の若い社員は外国、なかでも第三世界への駐在を嫌がる傾向がある、ということがよく話題になるが、この場合もその例によるのであろうか。

 かつて日本製品が外国で市場を獲得していっていた時、社員は一生懸命に現地の消費者の意向を調べて、本社に報告していたと思うのだが。

 本社の受け手の側にも、会社の幹部の側にも問題があろう。そんな単純なことに気がつかないで、平気でいるということは、おごり高ぶった結果というよりも、市場のニーズに関心がなくなった、工夫する気持ちがなくなった、ということの顕われではないのか。

 ちなみに、この会社の最近の経営状態は赤字続きであり、決していい状態ではない。それにもかかわらず、常識で考えても出来そうな変更を、しないで放置しているということは、自社が倒産してもいいという前提なのであろうか。

 こうした対応に気をもんで、一報くれた友人の気持ちが痛いほどわかる。この問題は現地を見なくても、分かることではないのか。