ここに来て、世界は大変化の転換点に、直面しているのかもしれない。ご存知の通り、アメリカ国内では金融緩和が、既に限度に達したという判断と、ここを通り抜けなければ世界は破滅だ、といった意見が飛び交っているようだ。
他方、外交軍事面でもアメリカは限界に、近づいているのかも知れない。軍事面では軍事予算の、削減が進められているために、もはや世界の警察としての役割は負えなくなっている、というのが国際的な判断のようだ。
そうは言っても、アメリカは軍事大国であり、少し動いただけでも多くの影響を、及ぼすのかもしれない。その迫力が失われていくと、世界の国々はアメリカに従わなくなり、勝手な行動をとることになろう。
現在国連の場に持ち込まれ、大問題となっているシリアの、化学兵器対策については、アメリカはロシアに先を越されている。アメリカは軍事力を行使して、シリアに懲罰を加えようという算段だったようだが、ロシアの提案した国際機関への、化学兵器引渡しという考え方が、当事国であるシリアに受け入れられ、世界中の国々が賛成した。
こうなっては、アメリカはロシアの提案を、受け入れざるを得なくなった。それでもアメリカが既に、各種の動きをしていたことから、石のひとつも投げずには気がすまないだろうし、国際的な立場も無くなろう。
それがシリアに対する化学兵器の資料引渡しと、それに続く施設兵器の破壊だ。このアメリカの要求が満たされず、つまり時間的に実行が不可能になった場合は、アメリカにはシリアを空爆する権利がある、ということのようだ。
理屈にならない理屈を並べて、アメリカは何とかシリアを軍事攻撃したいのであろうが、それが実行できなかった場合、世界の国々はアメリカの実力が、大幅に低下したと判断しよう。
イランの核問題でも、アメリカは経済制裁を続けてきたが、ここに来てイランの大統領に、ロウハーニ氏が当選したことから、対応を変化させ始めている。どうやら、アメリカ側からイランに接近し始めているようだ。
オバマ大統領とロウハーニ大統領が、お互いを褒めあったり、信頼できそうだと言ったり、挙句の果てには、二人はペンパルになった、と報道されている。つまりオバマ大統領とロウハーニ大統領との間では、多くのやり取りが行われているということであろう。
イランとの関係でも、アメリカは既に軍事力を行使することも、効果的な制裁を進めることも、無理になってきているのではないか。そうだとすれば、世界は指導国を失った状態に突入していくということであろう。