ロシアがシリアの化学兵器問題で、新しい提案をした。それはシリアを説得し、同国が持つとされる化学兵器の管理を、国連に委ねるという内容の提案だ。これに対して、世界の多くの国は支持をし始めている。
シリアもロシアの呼びかけに対して賛意を示し、これまで明かさなかった化学兵器所有について、ほぼ認める発言をし始めている。アメリカも渋々ではあるが、その国連管理に付託される内容によっては、シリアに対する攻撃を控える可能性が出てきた。
こうした流れで困り始めているのは、イスラエルであり湾岸アラブ諸国であり、トルコのようだ。これらの国々は、シリアのアサド体制が生き残ることは、自国の将来に、禍根を残すことになる可能性がある。
トルコはダウトール外相が、安保理にシリアの化学兵器を任せるのは、不満だと言い始めている。アラブ湾岸諸国も化学兵器の管理を、国連に任せてもシリア国内の流血は止まらない、と不満を述べ始めている。
イスラエルもシリアの化学兵器交渉が進むことは、イスラエルを不利な立場に追いやる可能性がある、と懸念し始めている。確かにそうであろう。これでシリアに対する攻撃を、アメリカが控えることになれば、まさに手負いの獅子が生き残るようなものであり、シリアからのどのような仕返しが、待っているか分からないからだ。
そればかりではない。最近になってCIAは、イスラエルがだいぶ前から、化学兵器を所有していることを明かしたのだ。そのことは、シリアに対する化学兵器の国連管理が話し合われる中で、イスラエルに対しても同じ要求が、国連加盟諸国の中から出てくる可能性が、高まっているということだ。
何やらシリアに対する、軍事制裁で始まった今回の問題は、次第にその影響を拡大し、多くの国々を新たな問題に、追いやっているようだ。ここから先は、各国がいかにして自国の被るであろう被害を、避けるかにかかってこよう。