『次第に拡大するシリア戦争反対の声』

2013年9月 4日

 国連の播事務総長が、国連の合意無しに、シリアを攻撃することに反対した。当然であろう、それが通用しなければ、国連の価値はなくなるからだ。そのことは、国連事務総長の価値も、下がるということであろう。

 パレスチナでは久しぶりに、ファタハとハマースが意見の一致をみている。それはシリア攻撃に、反対という立場からだ。二つの組織はお互いにパレスチナ人の気持ちを、察してそう決定したのであろう。

 エジプトでも世俗派が、シリア攻撃に反対しているし、最も激しくシリア攻撃を叫んでいるトルコでも、政府は戦争賛成でも、国民は反対の立場に回っている。このことが、今後トルコ国内政治に、影響を及ぼしていくのではないか、と思われる。

 もちろん、シリアのアサド体制を支持しているイランは、アメリカに対してシリアを攻撃することは、中東全域に災禍をもたらすと主張している。それは事実であろうか。すでに述べたように、トルコの場合はエルドアン首相が先走り過ぎて、いまさら後戻りはできない。したがって、トルコの野党はこの点を突いて、政府非難に回って行こう、その動きは既にトルコ国内で始まっている。

 北アフリカのアルジェリアやチュニジアなどでも、シリア攻撃に反対の動きは出てきている。ただし、今のところこれらの国の場合、国内問題の方がホットなテーマとなっていて、目立たないだけの話だ。

 さて、現在の緊張の当事国の、アメリカとシリアはどうであろうか。アメリカではオバマ政権の議会工作が成功して、シリア攻撃に対する承認が、得られたようだ。しかし、大半のアメリカ国民はそのことを、受け入れてはいない。アメリカでは全国的な反戦運動が始まっている。

 シリアでは、キリスト教団体がシリアのキリスト教徒が、アメリカによるシリア攻撃で、被害を受けることを懸念している。シリアには45万人のクリスチャンが生活しているからだ。同じキリスト教徒がほとんどのアメリカでは、国民がシリアのキリスト教徒の安全を、確保したいと思うのは当然であろう。

 つまり、一方でオバマ政権が着々と、戦争準備と戦争の正当化を進めてはいるが、他方ではそれに反対する動きも、着々と進んでいるということだ。

 本来であれば、もろ手を挙げて賛成するはずのイギリスが離脱し、フランス政府はともかくも、フランス国民の多くが戦争に反対しているし、ドイツでも同様に、国民は戦争に反対している。

 オバマ大統領はシリア攻撃計画で外堀を埋められ続けているのかもしれない、そんな気がするのは平和を望むからであろうか。