アメリカがシリアに対して、軍事攻撃を加えるということが、いま世界中で話題になっている。アメリカは本当にシリアを、軍事攻撃するのだろうか。それはオバマ大統領が言っているような、限定的で正確なターゲットだけを、狙ったものになるだろうか。
アメリカがシリア攻撃について、どう決定するかについては、いまだに不明だ。それはオバマ大統領の発言が二転三転しているからだ。『アサド大統領の体制を破壊する気はない』『攻撃は2~3日程度の空爆であり、地上軍による攻撃は想定していない』『アメリカ議会の意向を確かめる』『国連の意向を見守る』といった具合にだ。
それはそうであろう、初めから嘘を土台に構築された、シリア攻撃の正当性であり、オバマ大統領は内心、苦しんでいるのではないか。
世界中でこのシリアに対する、アメリカの攻撃に反対する動きが、起こっている。アメリカそのものでも、ニューヨークやロスアンジェルス、テキサスなどでデモが展開されているということだ。
アメリカ議会もあまり乗り気ではなさそうだ。それはシリア政府が化学兵器を使用した、という根拠が薄いことに加え、国防費大幅カットが話し合われている中での、軍事行動となれば矛盾だらけ、ということになろう。
アラブ連盟はサウジアラビアの金の力に負けたのか、国際社会の反応を見よう、という結論を出したようだが、エジプトの宗教権威であるアズハル大学は、オバマ大統領の戦争行為に全面拒否の、強い立場を打ち出している。パレスチナ各組織も同様だ。
アメリカのイエスマンであるトルコのエルドアン首相は一日も早いシリア攻撃を叫んでいるが、野党側は戦争反対の立場をとっており、右翼MHP (愛国運動党)は国連の結論次第だと今のところ軍事攻撃を支持していない。
イランは述べるまでもない。アメリカの議会はシリアに対する戦争を、正当化する権限を有していない。正当化の権限は、国連安保理のみが持つものだ、と主張している。そしてオバマ大統領には、国際法を変える権限はない、とも語っている。
こうした国際的な雰囲気の中で、イランのラフサンジャニ元大統領が、不思議な発言をしている。彼は『シリア政府軍が国民に対し、化学兵器を使用した』と語ったと報じられた。しかし、その後に発言内容が変えられ、『シリア国民は化学兵器のターゲットになっているが、今後は外国の攻撃の対象となろう。』と語ったということにされた。当然であろう。そうでなければラフサンジャニ師は、イラン政府と真っ向から対立することになるのだから。
シリアにはユダヤ人がいまでも住んでいる。彼等は通常の生活を続けているということのようだ。シリアには今中高年のユダヤ人が、50人ほど住んでいるようだが、宗教行事に何の支障もないということだ。それを伝えたのはイスラエルの右派のエルサレムポスト紙だ。
れは何を意味しているのか興味深い。なおイスラエル国民の、46パーセントはアメリカがシリアを攻撃すれば、アサド大統領はイスラエルを攻撃するだろう、と考えているということだ。
最後に、バチカンのポプ・フランシスは『シリアと中東の平和を祈ろう」と呼びかけている。