『シリアを叩けばイスラエルが危険に』

2013年8月26日

 シリアによる化学兵器使用は、ほぼ間違いないという結論を、アメリカ政府は出したようだ。そうなると、アメリカ軍によるシリアへの、ミサイル攻撃が想定されるのだが、そう簡単ではあるまい。

 アメリカ国民の60パーセントは、シリア攻撃に反対している。乱暴な言い方が許されるならば、シリアに軍事攻撃をしても、アメリカは何のメリットも得られない、ということであろうか。

 アメリカがシリアに対して、軍事攻撃をして得られるメリットは、イスラエルの安全度が高まる、ということだが、そうとばかりは言えないようだ。イスラエルがしかるべき反撃を、受ける可能性が、否定できないからだ。

 すでに、レバノンのヘズブラに対して、イスラエル軍は攻撃をしているが、それに対し、ヘズブラ側は明確な反撃をしていない。それは本格的な反撃を、準備しているからかもしれない。

 イランもまたイスラエルに対して、しかるべき攻撃を準備しているのではないか。かつて湾岸戦争の折に、イラクがイスラエルをミサイル攻撃したことを、イスラエルの軍は忘れてはいまい。イランからイスラエルに届く長距離ミサイルは、幾らでもあるのだ。

 イランはこれまで何度も、シリアに対する軍事攻撃があった場合は、しかるべき対応をすると語っている。それはイラン軍の軍事顧問団が、シリア国内に相当数入っていることもあるからであろう。

したがって、 シリアが攻撃されるということは、イランにしてみれば、自国民も犠牲になる、ということなのだ。もちろん、レバノンのヘズブラやイランばかりではなく、ロシアや中国の軍事介入も、ありうるということではないのか。

シリアの政府高官は、もし、シリアが軍事攻撃を受けることになれば、第三次世界大戦が始まることになる、あるいは中東地域全体が戦場になる、と言っている通りかもしれない。

こうした緊迫した状況下で、イスラエルも真剣にシリアに対する、軍事攻撃の自国に及ぼす影響を、検討し始めているようだ。最近になってイスラエルは、もしシリアに対する軍事攻撃が起これば、イスラエルは最前線に位置する国家になる、と言い始めている。

アメリカがイスラエルを守ろうとして、シリアに対し軍事攻撃を始めるのだ、と言うのならば、それは全く逆の効果を、イスラエルにもたらすのではないか。イスラエルはシリア攻撃によって、必要のない危険にさらされることになる、ということではないのか。