『エルバラダイ氏は敵前逃亡の卑怯者』

2013年8月15日

  副大統領に就任以来、私はこの男がこざかしい、無責任な男だと思えてならなかった。そのために手厳しい批判を何度か書いてきたが、今回の彼の辞任で、私の判断が正しかったという事に、なるのではないか。

エジプトの大統領になりたかった男エルバラダイ氏は、結果的に副大統領にしかなれなかった。そのことに対する不満が、彼の心の中には副大統領就任以来、くすぶり続けていたのであろう。

  そして、今回の軍による強硬作戦を前に、エルバラダイ氏は副大統領の地位から辞任した。そうであろう。流血の大惨事の責任を、ひとかけらも取りたくなかったのであろう。これまで彼が築き上げてきた、国際的な著人としての立場を、傷つけたくなかったのであろう。

  しかし、73日に軍が行動を起こして、新しいエジプトを作ろうとした瞬間から、実質的な権力は軍にあるということを、彼は理解していなかったのだろうか。もし、本当に分かっていなかったとすれば、およそうぬぼれが強い男であるか、相当な馬鹿者かのどちらかであろう。

  そして今回の流血の惨事が起こる前に、彼は何をしたというのであろうか。IAEA事務局長であったことから、彼は外交担当の副大統領に就任していたのだ。

それだけ彼の持つ国際的な人脈や、外交手腕に対する期待が、エジプトの新政府内部にはあったのであろう。

しかし、アメリカやヨーロッパからエジプトを訪問した代表団に対して、エルバラダイ氏はエジプトの現状に関する、十分な説明ができなかったのではないのか。エジプト政府が置かれている現状の説明はせず、ただ外国の代表団の要求に、応えるだけだったのではないのか。

  彼は外国から来た訪問団を前に、エジプト政府の副大統領としてでも、エジプト国民の一人としてでもなく、国際問題評論家のような話をしていたのではないのか。現在拘留されているムスリム同胞団の幹部に、外国の代表団を引き合わせるなどして、実はムスリム同胞団に、いらぬ期待を持たせた張本人はエルバラダイ氏ではなかったのか。

  ムスリム同胞団側にしてみれば、欧米が彼らに高い関心を寄せている、したがってムスリム同胞団の立場を主張すれば、欧米がエジプト政府に圧力をかけ、ムスリム同胞団の立場は強くなり、エジプト政府からより一層の妥協を、引き出せると考えたろう。

  エルバラダイ氏は、彼がIAEAの事務局長であった頃に経験したことから、代表団に必要のない便宜供与を、したということではないのか。挙句の果てには、軍が進めようと思った強硬策に、政府内部で反対をして見せたが、外国政府に『仲介は失敗だ』という判断をさせたのは、エルバラダイ氏ではないのか。その挙句の果てが、今回の軍による強硬策だったのだ。

 エルバラダイ氏よ恥を知れ、己の不徳の致すところが生み出した結果を、どの顔をして非難するというのだ。エルバラダイ氏には正義も正当性も、政府や軍を抗議をする資格もない。