『サウジアラビアがアルカーイダのターゲットか?』

2013年8月 9日

 アメリカ政府はアルカーイダの攻撃を予測して、中東をはじめ多くの国々の大使館、領事館を閉鎖している。今度起こるであろうアルカーイダの攻撃は、相当な規模のものだろう、とアメリカ政府は予測しているのだが、一体何処でそれが起こるのかについては、一切明らかにしていない。

 アメリカ政府がアルカーイダの大規模テロを予測したのは、アルカーイダの幹部の間で交わされている、電話を盗聴した結果だというのだが、その会話の中にはしかるべき場所は、含まれていなかったのであろう。

 そこで、一体アメリカが言う大規模テロが起こるとすれば、何処になるのかということが、中東を見ている者の誰もが、関心を寄せるところであろう。もちろん、私もその一人なのだが、予測に必要なデータは、何も提供されていない。

 アルカーイダがテロを計画し、アメリカが大規模テロという以上は、そのテロが実行された場合、世界中が驚愕するものになるはずだ。そうなると、世界的に耳目を集めない場所では、テロは起こらないということではないか。

 いま大規模テロが起こって世界が注目するとすれば、世界の経済に大きな影響を与える、サウジアラビアではないか、と予測してみた。そう思って見ていると、それらしい情報が出てくるものだ。サウジアラビア政府はチャド人とイエメン人のテロリストが、連絡し合っていたことで、二人を捕まえたと発表した。

 この二人のテロリストは、大規模なテロ攻撃を計画していたということだから、アメリカの発表と、まさにぴったりではないか。

 しかもサウジアラビア国内からは、貧困問題、失業問題、反政府を叫ぶ民主化運動、アルカテイーフ地区のシーア派の反政府運動など、多くの反政府の動きが伝えられるようになってきており、そうした傾向は、最近になってますます増えているようだ。

 サウジアラビアのダンマンでは、大分前に大規模テロが起こっており、アメリカ人も犠牲になっている。つまり、サウジアラビア国内でそうした大規模テロが起こっても、何の不思議もないということだ。

 サウジアラビア以外に、いま大規模テロを起こして、世界の耳目を集めようとすれば、エジプトでありトルイコではないか。これらの国々の場合は、反政府の動きが活発化しており、テロが起こっても不思議はないからだ。

 エジプトではムスリム同胞団が、反政府運動を継続しており、その中からは、かつて同組織を飛び出して過激集団となった、ガマーア・イスラーミーヤのような集団が誕生して来ない、という保証は何処にもない。サダト大統領を暗殺したことで、この組織は世界的に知られるようになった。

 トルコの場合もしかりで、エルドアンの独裁色に嫌気をさしている、国民の数は少なくない。イスタンブールの公園を潰して、大ショッピング・モールを建設するという、エルドアン首相の計画に反対して始まったデモは、政府が強権を発動したことで、逆に全国規模に広がってしまった。その動きの中からも、過激な組織が誕生してきても、不思議はなかろう。

 アメリカが唱える大規模テロは、サウジアラビアで起こるのか、エジプトなのか、あるいはトルコなのかは、一番アメリカが知っているのかもしれない。なぜならば、リビアの反カダフィの闘争で、アメリカはアルカーイダの戦闘員ベルハッジを司令官として使っていたのだから。