『ヌスラ組織の目に余る蛮行は何故行われるのか』
いまシリアで最も蛮勇を振るっている反政府派の組織に、ヌスラ組織というのがある、この組織はアルカーイダとも関係があり、自分たちの組織はアルカーイダの直系だ、と自慢しているようだ。
ヌスラ組織が何を自慢しようとも、そのこと自体は構わないのだが、この組織が行っている蛮行は、目に余るものがある。ここ数カ月の間に、彼らがやったのは、シリア軍の兵士を殺害し腹を切り裂き、肺を取り出して食うというものだった。
そのシーンは携帯電話であろうか、映像としてツイッターで流れ、世界中の人が目にした。これ以外にも、10人ほどのシリア兵を膝まづかせ、後ろから銃で撃ち殺すというシーンも、同じように映像が世界中に流された。
そしてつい最近流れた映像は、シリアのクルド人を捕まえ、ガソリンをかけたうえで、火中に蹴倒すというものだった。述べるまでもなく、そのシリアのクルド人は、炎に包まれて死亡している。
そればかりではない。シリアのキリスト教徒の司祭と彼の従者が、ヌスラ組織のテロリストに捕まり、首を切り落とされるシーンも携帯で撮影された後、インターネットを伝わって、世界中にばらまかれた。
こうした残酷なシーンが、なぜ流されるのであろうか。考えられることは、ヌスラ組織が他のゲリラ組織や、シリア軍に対して脅しをかけ、震え上がらせるということが、目的なのかも知れない。
ヌスラ組織はシリア人の組織ではなく、あくまでも外人部隊なのだ。彼等は義勇軍であるとか、ジハーデストだと自称しているが、単なる残虐な集団でしかない。イスラムの立場から見て、彼らがアッラーのためのジハーデスト(聖戦の兵士)だ、と判断しうる何の正当性もないのだ。
何故彼らがこうも残虐な行動を、行っているかということを考えた場合、反政府側の戦闘員が、残虐だというイメージを創り上げ、シリア政府と軍を正当なものだ、というイメージにしていく効果があろう。
それはシリア政府がやっているというよりも、ヌスラ組織をこれまで支援してきた国々が、そのように仕向け、支援をやめる方向に、変わっていくためかもしれない。
そうした中で、真偽のほどはわからないが、トルコ政府が相変わらず、ヌスラ組織を支援しているということは、エルドアン首相のイメージが、世界的に悪化していくことに、繋がるのではないか。なぜならば、最近、シリアのクルド組織は『ヌスラを支援しているのはトルコだ。』と断言しているからだ。