『蜘蛛の糸のようなイスラム過激派の連携と現象』

2013年7月30日

 

 アフリカの角と呼ばれる、アフリカ大陸の北東に位置するソマリアで、トルコ大使館襲撃事件が起こった。被害は警備担当者(警察)1名死亡、3名負傷(うち1名は重傷)というものだった。

 大使館には特攻攻撃がかけられ、トルコ大使館の警備側が応戦し、2組は防いだが、残りの一組の特攻は防げなかったようだ。その結果が前記の被害、死者1名負傷者3名というものだった。

 この襲撃事件について、トルコ国内の専門家たちは、種々の異なる意見を述べている。ある者は『トルコをPYD(シリア北部のクルド組織)が訪問し、関係改善が図られたからだ。』というものだ。それは、PYDとヌスラ組織とが、シリア国内で敵対関係にあるからだ。ヌスラ組織はアルカーイダと関係の深い組織だ。

 したがって、今回のソマリアの首都モガジシオで起こったトルコ大使館襲撃事件は、アルカーイダが報復と警告の意味で行ったという分析だ。確かに、トルコが自国の問題を回避するために、PYDとの良好な関係を構築しようとした動きは、アルカーイダにとっては、不愉快極まりないものであったかもしれない。

 また、ある専門家はダウトール外相の発言に、問題があったと述べている。彼はダウトール外相が『過激イスラム組織の活動は、シリアの反体制活動の邪魔になっている。』と語ったことだ。

 またある者は、当初トルコとヌスラ組織との関係が良好であったが、西側諸国がヌルサ組織を敵視するようになってから、トルコもヌルサ組織を敵視するようになった。そのことに対する、警告のメッセージであろうというものだ。

 またある者は、トルコがソマリアに深く、関与したためだと語っている。エルドアン首相が訪問し、資金援助やビルの建設援助をしているし、人道支援も行っている。もちろん、トルコが大使館を設立たこともあろう。

 今の段階では、どれが真実なのかは不明だが、中東地域ではいま、風が吹けば桶屋が儲かる式の、複雑な関係関与が起こっていることは、確かであろう。

ステップはこうだろう。トルコがソマリアに援助をした、トルコはシリアで活動するヌルサ組織との関係を悪化させた、トルコはヌルサ組織と敵対するPYDと関係改善に動いた。結果はヌルサ組織の親組織ともいえるアルカーイダ組織が、ソマリアのシャバーブ組織を使って、トルコ大使館を襲撃させたということだ。

どこまで本当なのか分からないが、一考の余地はあろう。こうなってくると、もう一国で起こる現象を、一国だけ見ていて分かる時代ではないということだ。エジプトの場合もそうであり、シナイで起こっているテロは、その典型であろう。