『エジプトの変革は地域にどう受け止められているのか』

2013年7月11日

 エジプトで起こった第二革命と、その後の軍の台頭、そして臨時大統領の指名と、首相指名という一連の動きは、地域諸国からどう受け止められているのであろうか。またどのような影響が、今後予測されるのであろうか。

 一昨日、アラブ首長国連邦政府はエジプト新政府に対、し30億ドルの供与を発表した。サウジアラビア政府も50億ドルの供与を発表している。そして昨日はクウエイトが40億ドルの供与を発表した。つまり、湾岸諸国は押し並べて今回のエジプトの政変劇を、歓迎しているということだ。

 唯一異なるのはカタールだが、カタールの地域への影響力は、次第に後退していくのではないか。既にお伝えしたように、カタールのアルジャズイーラ・テレビは、あまりにもアラブ諸国の不安定化を、扇動する内容の放送を続けたために、次第に視聴者に嫌われているし、スタッフが局側に抗議して、退職するということも起こっている。

 チュニジア、エジプト、リビアの革命ではそれを大げさに煽り、リビアの場合は反カダフィ派に対し、武器を供与してもいた。シリアでは直接的に武器や、資金の支援を行ってきている。

しかし、シリアの反政府側が政府軍の兵士を殺害し、内臓を食うシーンが世界中に流れ、キリスト教の司祭を斬首するシーンが流れ、サリン・ガスの使用が使えられると、カタールの反シリア支援は、ひんしゅくを買うようになっている。

トルコも同じであろう。シリアの反体制派に送られるサウジアラビアやカタールからの武器や資金を、トルコは自国を経由して送っていた。こうした活動は誰もが知っており、エジプトでいったん変化が起こると、一斉に非難が広がろう。

タクシム広場の公園を壊して、巨大なショッピング・モールを建設するというエルドアン首相の構想は、庶民から大反対され強硬対応したのだが、いまだに解決していない。そのようなことも影響し、トルコのリラが値下がりし、観光客も減っている。トルコの経済に与えるダメージは、少なくないだろう。

エジプトの第二革命以来、反シリアの勢いは少し下がり始めている。そもそもシリアの反体制側では、ムスリム同胞団の存在が大きいのだが、今回のエジプトの変革で同組織への悪影響が出てきたということであろう。。

そのため、シリアのアサド大統領は、内心ホッとしているのではないか。イギリスが『もしアサド体制を打倒すれば、シリアにある化学兵器が拡散し、危険な状況になる。』と警告したのは間接的なアサド体制支持ではないのか。