今回のエジプトの第二革命から軍の行動をめぐり、現場のスタッフとアルジャズイーラ本部編集局との間で、摩擦が起こった。このため、多数の在エジプト・スタッフが辞職したようだ。全員で何人かは分からないが、今のところ明らかになっているだけで、7人に上るということのようだ。
アルジャズイーラ放送を見ていると、どうもアラブの春をあおる傾向が強かった。つまり、騒動が革命に発展するように、あおりたてる傾向が強かったということだ。
一例をあげると、以前リビアの西部の町ズワーラで、デモに軍が対応した時、アルジャズイーラの特派員は『残忍にも実弾が容赦なく市民に向けて発射されています。」と解説したことがある。しかし、その画面には催涙弾の薬きょうがころころと転がってるシーンが映っていた。つまり実弾は発射されていなかったのだ。
私はアルジャズイーラの放送は、アメリカの意向を受けたプロパガンダであって、正しくないという判断をだいぶ前からしていた。それは注意深く見ているとわかることだ。
今回の場合、エジプトで起こったのは、間違いなく経済苦と失業問題、それにムスリム同胞団政権の暴走に、反発した市民が立ち上がった、第二革命であり、軍が動いたのは、ムスリム同胞団側と市民側が衝突し、大混乱になることを防ぐためであった。
その事実を、現場にいるアルジャズイーラのスタッフは知っており、そのようにニュースを編集して送ると、本部で『軍の暴走』『軍によるクーデター』として放送されたのだ。
アルジャズイーラの現場スタッフたちは、アルジャズイーラ局がイスラム原理主義者たちをひいきにした内容に、ニュースを歪曲していると怒っている。そうしたアルジャズイーラ放送局の方針に、プロ意識を抱くスタッフは、堪忍袋の緒が切れたということであろう。
この事実を世界の良識ある人たちは、少しでも多くの人たちに、知らせるべきではないのか。アメリカ政府の意向を受けた、カタール政府の宣伝臭の強い内容の放送を、できるだけ多くの人たちに、気が付いてもらうべきであろう。
第二革命を終えたエジプトの世俗派の人たちは、必死に民主的な国を創り上げようとしているのだから。サウジアラビアとアラブ首長国連邦が、エジプトに対していち早く資金援助を申し入れた。その額は合計で80億だといわれている。今は批判より支援が第一だろう。