『エジプト新首相決定・エルバラダイ氏は恥をかく?』

2013年7月 8日

革命後、エジプトの新首相に誰が就任するのか、ということが話題に上り、エルバラダイ氏が自分の就任を狙って、だいぶ派手な動きを示した。しかし、結果的に彼は首相職に就任することができず、副大統領の地位に就くことになった。

 エルバラダイ氏ではなく、新首相に就任することになったのは、ザイド・バハーアッデーンという商事法の専門の弁護士だった。彼は社会民主党のメンバーであり、ロンドン大学経済学部で博士号を取得した48歳のエリートだ。ザイド・バハーアッデーン氏はムバーラク政権時に、投資庁の長官に就任していたこともある。

エルバラダイ氏の首相就任に反対したヌール党は、ザイド・バハーアッデーン氏の首相就任には、反対しないばかりか歓迎している。このことはヌール党にとって、エルバラダイ氏がいかに嫌われていたのか、ということの証明であろう。

いずれにしろ、重要なポスト二つが決定し、エルバラダイ氏は副大統領に就任し、ザイド・バハーアッデーン氏が首相に決定したということは、第二革命後のエジプト国内政治を、安定させていくのではないか。

エルバラダイ氏の副大統領就任を、タマッロド(モルシー大統領に対する反抗運動)のリーダーである、マハムード・バドル氏は歓迎している。

問題はこれからだ。エルバラダイ氏は国際的に知名度が高いことから、何かにつけて、国際舞台に立ちたがるであろう。しかし、副大統領というポストは首相よりも、その可能性は低いことになろう。

そうなると、アドリー・マンスール大統領を押しのけて、エルバラダイ副大統領が目立ちたがるという場面が、増えてくるのではないか。場合によっては、エジプト政府内部の決定を、政府が公表する前に口走る場面も、出てくるのではないか。

そうなれば、当然の帰結として、エルバラダイ副大統領とアドリ-・マンスール大統領との間で、軋轢が生まれることになろう。その結果は、エルバラダイ氏が極めて不名誉な形で、副大統領職から辞任しなければならなくなるのではないか。

エルバラダイ副大統領がどこまで、自分の存在を誇示することを抑えられるかが、今後の彼の運命を決めるのではないかと思われる。エルバラダイ副大統領はIAEAの事務局長の時代、必ずしもアメリカ政府に歓迎されていなかったことも、伏線としてあるのではないか。